『かぐや様は告らせたい』初登場1位 平野紫耀&橋本環奈が実証したヒットの方程式

平野紫耀&橋本環奈が実証したヒットの公式

 そんな中でも比較的安定した動員を続けていたのは、シリアスな恋愛ドラマではなく、コメディ要素の強い作品だった。それまでティーンムービーを支えてきたヒロイン役の女優たちが、年齢的に、あるいはキャリア設計的に、路線変更を余儀なくされる中で、『銀魂』シリーズをはじめとする福田雄一監督のコミカルな作品で頭角を現した当時まだ10代だった橋本環奈は、そんな「ティーンムービー冬の時代」のサバイバーと言えるだろう。また、地上波のバラエティ番組などで女優然とすることなく天真爛漫に振るまう彼女は、「共演相手の同性のファンから嫌われない」というティーンムービーのヒロインを演じる上で非常に(もしかしたら最も)重要な特質も備えていた。

 そんな橋本環奈がヒロイン、コメディ要素を前面に出した作風、ティーンムービー・ブーム終焉による競合作品の少なさ、そして現在最も吸引力のあるスターの一人である平野紫耀の主演作。こうして条件を並べてみると、今回の『かぐや様は告らせたい』のヒットが必然であったことがわかる。もっとも、今後も長く役者を続けていくのなら、平野紫耀にとっても橋本環奈にとっても、ティーンムービーを「卒業」するタイミングは重要になってくるだろう。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』
全国東宝系にて公開中
原作:『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(赤坂アカ/集英社『週刊ヤングジャンプ』連載中)
企画プロデュース:平野隆
脚本:徳永友一
監督:河合勇人
出演:平野紫耀(King & Prince)、橋本環奈、佐野勇斗、池間夏海、浅川梨奈、堀田真由、ゆうたろう、高嶋政宏、佐藤二朗
配給:東宝
(c)2019 映画「かぐや様は告らせたい」製作委員会 (c)赤坂アカ/集英社
公式サイト:https://kaguyasama-movie.com/

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