川島明、原田泰造、澤部佑……今期ドラマを引き締める、“芸人役者”たちの活躍

今期ドラマを引き締める、芸人たちの活躍

『だから私は推しました』澤部佑(ハライチ)

 「女オタ×地下アイドル」をテーマにしたドラマ『だから私は推しました』(NHK総合)は、「あの、推しって分かりますか?」というアラサー女子・遠藤愛(桜井ユキ)の一言から始まる。一見するとリア充OLが、ある日、地下アイドル「サニーサイドアップ」と出会い、オタク沼にハマっていく人生で一番暑い夏が、『だから私は推しました』では描かれる。愛が推すのが、親友のような、妹のような、子供のような分身、ある意味もう一人の自分と感じる、メンバーの栗本ハナ(白石聖)。彼女のために奮闘し、現場に通い、オタ仲間と反省するというリアルな二人三脚の日々は、全て過去の出来事として愛の口から話されていく。愛が「あの、推しって分かりますか?」というアイドルの説明をする相手が、刑事・聖護院実(澤部佑)だ。

『だから私は推しました』写真提供=NHK

 聖護院は、サニーサイドアップにまつわる、ある事件を捜査している。それは、ハナ推しのオタクで、ストーカー的な側面をもつ厄介・瓜田勝(笠原秀幸)が突き落とされた事件。その容疑をかけられているのが、愛だ。愛とハナをメインに物語は進んでいくが、始まりと終わりでインサートされる、言わばサスペンス要素を、聖護院による取り調べのシーンが担っている。

 放送前の会見で役作りについて「ほぼそのまま出ている」と話している澤部だが、『オトメン(乙男)』(フジテレビ/2009年)、『ガリレオ』(フジテレビ/2013年)、『ボク、運命の人です。』(日本テレビ/2017年)など多くの作品に出演し俳優としての経験を積んでいる。中でも、『オトメン(乙男)』の主演を務めた岡田将生とはクラスメイト役で共演し、そこから親友と呼べる仲にまで発展している。

 聖護院は、愛からアイドルの世界を教えられる立場だが、演じる澤部本人は、欅坂46の冠番組『欅って、書けない?』(テレビ東京系)のMCを約4年務めている。サニーサイドアップと欅坂46のグループの規模感は違うものの、アイドルへの理解という意味で、根底に流れている考え方は変わらない。1、2話を観た澤部は「こんなに揺さぶられるなんて」と感想を話していたが、主演の桜井ユキや白石聖よりもドラマに寄り添うことができるのが、澤部なのかもしれない。

 ほかにも、今期ドラマでは『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)に出演の木村祐一、大河ドラマ『いだてん』(NHK総合)に出演のじろう(シソンヌ)、片桐仁と同じく『あなたの番です』に出演している坪倉由幸(我が家)などがいる。芸人が出演するケースは様々だが、作品の中で何か一つ親和性のあるものが交わった時、ひときわ輝く存在へと昇華していくのだと感じる。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人、岡田将生、小林隆、音尾琢真、北乃きい、清原翔、川島明、渡辺麻友、田村健太郎、平尾菜々花、貫地谷しほり、山口智子、草刈正雄 ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

ドラマ25『サ道』
テレビ東京系にて、毎週(金)深夜0時52分~1時23分
原作:タナカカツキ『マンガ サ道』(講談社モーニングKC刊)
※講談社「モーニング」にて、 2019年5月16日より連載再開
出演:原田泰造 三宅弘城 磯村勇斗
   荒井敦史 小宮有紗 山下真司 荒川良々 / 宅麻伸
脚本:根本ノンジ 竹村武司 永井ふわふわ
音楽:とくさしけんご
主題歌:Cornelius 「サウナ好きすぎ」(ワーナーミュージック・ジャパン)
エンディングテーマ:Tempalay「そなちね」(SPACE SHOWER MUSIC)
監督:長島翔
チーフプロデューサー:大和健太郎
プロデューサー:五箇公貴 寺原洋平 松本彩夏 手塚公一 伊藤才聞
制作:テレビ東京 イースト・エンタテインメント
製作著作:「サ道」製作委員会
(c)「サ道」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/sa_una37/

よるドラ『だから私は推しました』
NHK総合にて、毎週土曜23:30〜23:59放送(全8回)
出演:桜井ユキ、白石聖、細田善彦、松田るか、笠原秀幸、田中珠里、松川星、天木じゅん、澤部佑、村杉蝉之介ほか
作:森下佳子
音楽:蔡忠浩(bonobos)
制作統括:三鬼一希
プロデューサー:高橋優香子
演出:保坂慶太、姜暎樹、渡邊良雄

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