『火口のふたり』はコメディ映画!? 瀧内公美「笑える作品だと今は自信を持って言えます!」

瀧内公美、『火口のふたり』秘話語る

 現在公開中の『火口のふたり』の女性限定特別上映会トークイベントが9月2日に新宿武蔵野館にて行われ、主演を務めた瀧内公美が登壇した。

 直木賞作家・白石一文の同名小説を映画化した本作は、『ヴァイブレータ』『共喰い』などの脚本家・荒井晴彦の3作目の監督作。10日後に結婚式を控えた直子と、久しぶりに再会を果たした昔の恋人・賢治が、直子の婚約者が戻るまでの5日間、“身体の言い分”に身を委ねながら辿り着く先を描く。

 今回行われたイベントは“男子禁制”で、女性だらけの観客の前で、直子を演じた瀧内と、ライフ&カルチャーメディア「She is」の編集長・野村由芽がトークを繰り広げた。

 自身が演じた直子の女性像について、瀧内は「最初に思ったのは賢ちゃん(柄本佑演じる主人公・賢治)のことが本当に好きだったんだろうなと感じました。上部では気持ちを隠して生活しているけど、自分をすべてさらけ出すことができた賢ちゃんを好きな気持ちが心の奥に潜んでいるキャラクターだと思いました」と分析。さらに話題は賢ちゃんを演じた柄本佑の秋田弁へ。瀧内は撮影を振り返りながら、「柄本さんの秋田弁を何回聞いても笑いが止まらない状態になってしまいました。柄本さんが必死に練習なさっている姿も見ていたのですが、どんな風に演じられるのか想像がつかなくて、でも、いざ本番で見るとどうしても笑ってしまって、それが衝撃的な思い出になりました」と、柄本の秋田弁にドハマリしたことを明かし、会場を沸かす。

 野村が「たったふたりだけで、色々な営みを描いているので、もっと過激な物を想像される方もいると思いますが、切実さはありながらもさっぱりしていて、生活の中の当たり前の営みを、ユーモアたっぷりに描かれていると思いました」と語ると、瀧内も「私も出来上がった作品を最初に観たときには、滑稽なところが多くて結構笑えるな~と感じました。ポスタービジュアルなどのイメージで堅い映画に思われるかもしれないですが、劇場で笑っているお客さんが多かったと聞ききますし、“これってコメディ映画だよね?”と言われることもあるので、笑える作品だと今は自信を持って言えます!」と、コミカルさも評判を呼んでいる本作に太鼓判を押した。

 直子が過去の情事を収めたアルバムを賢治に見せることから物語が動き出す本作。女性の欲望や営みに対してこの映画に出会って考え方に変化があったかを問われた瀧内は、「作品のテーマでもある、本能のままに生きること、自分の気持ちを大切にすることは、とっても素敵だと感じました。“社会”の中で生きていくことは、制約が多く、自分を貫くのはとても大変ですが、強い気持ちを持ち続ければちゃんと結果で出るんだなと思いました。仕事をする上でも、気持ちの強さを持って続けていけば結果に繋がるんじゃないかと、改めて考えさせられました」と作品から受けた影響を明かした。

 満席が続き、席が取れず観たくても観れないという声もあがっており、多くの人の興味を引いていることに対して、瀧内は「ふたりしか出ていなくて“男と女”を描いた作品も多くないという点もあると思いますが、心の奥底に隠しておきたい部分を描いているからこそ、この物語が興味を持たれるのだと思います」と自身の考えを語った。

 最後には、観客とのQ&Aも実施され、撮影で印象に残ったシーンを聞かれた瀧内は、「路地の隙間で行為に及んでいるところを、小学生に覗かれる場面があるんですが、行為を小学生に見せるわけにも何をしているか教えるわけにもいかず、何が起きているのかわからないまま覗く演技をしなければならない小学生たちが、演技に苦労し、監督に怒られながら何回も撮り直しをさせられていて、可哀そうだと思ったことを思い出しました」と語り、再び会場を沸かせ、終始温かい雰囲気のままトークイベントは終了した。

■公開情報
『火口のふたり』
新宿武蔵野館ほかにて公開中
出演:柄本佑、瀧内公美
原作:白石一文『火口のふたり』(河出文庫刊)
脚本・監督:荒井晴彦
音楽:下田逸郎
製作:瀬井哲也、小西啓介、梅川治男
エグゼクティブプロデューサー:岡本東郎、森重晃
プロデューサー:田辺隆史、行実良
写真:野村佐紀子
絵:蜷川みほ
タイトル:町口覚
配給:ファントム・フィルム
レイティング:R18+
(c)2019「火口のふたり」製作委員会
公式サイト:kakounofutari-movie.jp/

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