杏、ドラマ復帰作『偽装不倫』でアラサー女性を熱演! コメディで生かされる人間くささ

『偽装不倫』杏がコメディで発揮する魅力 

 杏は女優だけではなくファッションモデルとしても活動している。15歳の時に「non-no」(集英社)の専属モデルとなった杏は2005年からは海外のプレタポルテコレクションにも出演。2006年には「News Week」の「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれた。

 また、当初は伏せられていたが、杏は俳優・渡辺謙の娘としても知られている二世俳優である。実に華々しいキャリアの持ち主だが、女優としての杏は匿名性が高く、良い意味で色がない。

 『ごちそうさん』で国民的人気女優となった後は、同作のヒロイン・め以子のような、勝ち気で明るいけどどこか抜けている女性というイメージが定着し、『偽装不倫』と同じ「水10」で放送された池井戸潤の小説をドラマ化した『花咲舞が黙ってない』はそのイメージが引き継がれていたが、その一方で、『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)では、内閣府の研究所で働く公務員、薮下依子のような、頭がいいが人の気持ちがわからない機械のような女性というハチャメチャなキャラクターを演じている。

 他にも『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)に登場する魔女のような風貌をした妖怪人間のベラや、『泣かないと決めた日』(フジテレビ系)のヒロインを陥れようとする帰国子女の令嬢など、様々な役を演じており、実は作品ごとに演じる役を切り替えている。

 そのため、綾瀬はるかや石原さとみといった年齢が近い女優と較べると「杏だからコレ!」というイメージはあるようでない。日本のテレビドラマは俳優先行で作られることが多いため、俳優のパブリックイメージに寄せた役を当てられることが多い。例えば、杏と同じモデル出身の米倉涼子や菜々緒ならばモデル体型でスラッとしたスタイルの良さと勝ち気な顔立ちを活かした強い女性を演じることが多いのだが、そういった主演級の女優とくらべた時に杏の立ち位置は独特で、むしろ、役に自分を近づけるタイプだと言える。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる