“側にいることが自然”な存在ーー『なつぞら』広瀬すずと中川大志が結ばれるまで

広瀬すずと中川大志の『なつぞら』恋模様

 恋愛において、同じタイミングで結婚を意識し、同じ方向を向いて歩いていくことができる相手であるかは重要だ。なつの「好きでも一緒に生きられないこともあるし、好きなことが一緒ならお互いに好意がなくても一緒に生きられることもある」というのはまさに、天陽と結ばれなかったことへの未練を自分で断ち切り、坂場との関係を整理するための言葉だろう。そして同時に、なつの気持ちがはっきりと現れている。

 なつにとって、アニメーションを捨てるという選択肢はなく、十勝に帰るつもりもないし、なつの人生を伸び伸び生きていくという宣言でもあった。その時に、無理にどちらかに合わせるのではなく、自然と同じ方向を向くことができる相手こそ、側にいるべき人だということだろう。そしてなつにとってそれは坂場であった。

 なつは自身の人生を曲げることなく、将来の伴侶に出会うことができた。坂場はまっすぐで不器用だが、いつでも真剣になつと同じ方向を向いてくれる男だ。それは110話で、なつの実家に挨拶に行っている最中、農協で起こっている問題に坂場も協力すると名乗り出る勢いの良さにも表れているだろう。坂場は、なつの人生を自分の人生の一部としてではなく、奥原なつとして尊重してくれる。やりたいことも、自分の気持ちもはっきりしているなつにとって、これ以上ない相手と結ばれただろう。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、岡田将生、比嘉愛未、近藤芳正、中川大志、染谷将太、川島明、渡辺麻友、伊原六花、犬飼貴丈、田村健太郎、戸田恵子、井浦新、山口智子ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる