「やなヤツ! やなヤツ! やなヤツ!」 『なつぞら』広瀬すずが中川大志に向けた往年の名台詞

広瀬すずが往年の名台詞を!

 一方、新人アニメーターとしてのなつはというと、不器用な新人の演出助手・坂場の登場により、日々に変化が生まれていた。それは「刺激」だと言い換えても良い。彼の体温低めの言動になつは戸惑うが、言葉の一つひとつは妙に的を射ている。風変わりな男ではあるものの、「(絵を描けない自分にとって)絵を描けるということは、本当に素晴らしいことだと思う」などと、素直な心を言葉にする。やることなすことに一切の悪意はなく、ただただピュアな男なのだ。そんな彼になつは「アニメーションにしかできないものを教えてほしい」と言うが、彼から返ってきたのは「いつかアニメーションで僕に教えて。あなたが本当のアニメーターならば」というものである。

 これになつは「やなヤツ! やなヤツ! やなヤツ!」と往年の名台詞を吐き出す。スタジオジブリのアニメーション『耳をすませば』(1995)での、ヒロイン・月島雫が天沢聖司の「コンクリートロードはやめた方がいいぜ」という言葉を受けてのものである。彼らがやがて身を寄せ合う関係になったことは誰もが知るところであるが、ということはもしや、なつと坂場も……。とまれ、まだまだ波乱の展開は続きそうである。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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