『インハンド』高評価を支えたのはゲスト配役の巧さ? 山下智久らレギュラー陣との絶妙なバランス

『インハンド』高評価の理由は?

 レギュラーとゲストのバランスが絶妙だったドラマといえば、やはり『古畑任三郎』(フジテレビ系・1994年~2006年)だろう。毎回犯人役としてゲスト出演する名優たちが田村正和演じる古畑と堂々渡り合う姿は、まさに主人公と同じといっても良いほどの存在感だった。ほかにも『相棒』(テレビ朝日系・2000年~)や『トリック』(テレビ朝日系・2000年~2014年)、『特命係長 只野仁』(テレビ朝日系・2003年~2018年)などもゲストが強烈なキャラクターを発揮し、作品を独特のものにしていた。その意味で「刑事ドラマ」というジャンルは、ゲストを招くのに最も適している“場”である。同様に「サスペンス」や「ミステリー」も、ゲストがドラマの盛り上がりに寄与するジャンルだろう。

 一方、ゲストとして出演する俳優にとっては、普段の自分に求められる役とは違う役にチャレンジできるというメリットがある。それはそれでプレッシャーでもあるが、視聴者からすれば新鮮に映り、その俳優の新たな魅力に気づくきっかけになることは間違いない。

 『インハンド』は『古畑』のような明確な対立構造ではないものの、非常にバランスが取れた、安定感と説得力のあるゲストが魅力的な作品であったとも言える。もちろん、これはあくまで一つの見方であり、必ずしもこうあるべき、ということではない。「ゲスト」という固定観念にとらわれない、自由な発想によるキャスティングとドラマ作りに今後も期待したい。

■中村裕一
ライター。ドラマについて書いたり言ったりするのが得意といえば得意です。Twitter
@Yuichitter

■放送情報
金曜ドラマ『インハンド』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:山下智久、濱田岳、菜々緒、藤森慎吾、高橋春織、酒井貴浩、田口トモロヲ、松尾貴史、光石研
原作:朱戸アオ『インハンド』(講談社『イブニング』連載中)
脚本:吉田康弘、田辺茂範、福田哲平
プロデューサー:浅野敦也(TBSスパークル)、佐藤敦司(TBSスパークル)
演出:平野俊一、岡本伸吾、青山貴洋
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/inhand/

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