福山雅治が走るのは河川敷から首都高の高架下へ 『集団左遷!!』第1章完結で見せた銀行員のプライド

福山雅治が走るのは河川敷から首都高の高架下へ 『集団左遷!!』第1章完結で見せた銀行員のプライド

 あと1億、西村精機の融資が決まれば目標達成というタイミングで浮かない顔をしている担当の滝川。西村精機は、社長だった夫の亡きあと、妻の雪子(丘みつ子)が会社を切り盛りしてきた。動いていないはずの機械に潤滑油を補充している様子を目にして、雪子に工場を再建する意思があることを察した滝川は、融資を進めるべきかひとり悩んでいたのだ。

 最後の最後に立ちはだかった銀行員としての究極のジレンマ。悩む滝川に向かって片岡は言う。「おまえが考えていることって蒲田支店の首を絞めることなんだよな。みんなに相談してみるか」。お前を一人にはしないぞ、という一言。第5話でスパイがばれた花沢に「怖いのも、生き残るのも一緒」と話したように、部下ひとりに背負わせないという片岡らしい言葉であった。

 結局、片岡たちは西村精機への融資を取りやめる。それは「お客様のためになることをする」という銀行員としてのプライドを貫いた結果だった。その決断が最終的に片岡たちを救うことにもなる。廃店となった蒲田支店だが、藤田のとりなしもあって行員たちは全員、他の支店で銀行業務を続けることになったのだ。

 片岡たちのカッコよすぎる対応は一見すると自殺行為のようにも見えるが、実は理にかなっている。心理学でいう「返報性の原理」では、人間は他人に何かをしてもらうと、お返しをしなければいけない心理になるとされている。片岡たちが雪子にした「心意気という名の融資」が、以前、西村精機を担当していた藤田の心を動かしたとも考えられるし、片岡が雪子に引き合わせた3人には今後の重要な伏線になりそうな予感が漂う。

 激動の『集団左遷!!』第1章はこうして幕を閉じた。慣れ親しんだ蒲田を離れて銀行本部に舞台を移す第2章。次に走るのは河川敷ではなく首都高の高架下だ。融資部に配属された片岡は、横山たちのいる本丸に乗り込む。バッドエンドを乗り越えて、令和最初の下剋上はいよいよこれからが本番だ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『集団左遷!!』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:福山雅治、香川照之、神木隆之介、中村アン、井之脇海、高橋和也、迫田孝也、増田修一朗、谷口翔太、橋本真実、市村正親、酒向芳、橋爪淳、津嘉山正種、尾美としのり、三上博史、八木亜希子、西田尚美、赤堀雅秋、パパイヤ鈴木
語り手:貫地谷しほり
三友銀行イメージガール:生田絵梨花(乃木坂46)
原作:江波戸哲夫『新装版銀行支店長』『集団左遷』(講談社文庫)
脚本:いずみ吉紘
プロデュース:飯田和孝、中前勇児
演出:平川雄一朗、田中健太
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/shudan-sasen/

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる