松山ケンイチ×早乙女太一×中島かずき『プロメア』鼎談 松山「プレッシャーがすごくあった」
人気TVシリーズ『天元突破グレンラガン』『キルラキル』を手がけた今石洋之監督と脚本家・中島かずきが再タッグを組んだ完全オリジナル劇場アニメーション映画『プロメア』が5月24日より公開されている。
全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種<バーニッシュ>の出現だった。あれから30年、攻撃的な一部の面々が<マッドバーニッシュ>を名乗り、再び世界に襲いかかる。対バーニッシュ用の高機動救命消防隊<バーニングレスキュー>の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと、<マッドバーニッシュ>のリーダー・リオ。2人の熱き魂がぶつかりあう。
今回リアルサウンド映画部では、W主演を務めた主人公で消防隊<バーニングレスキュー>に所属する新人隊員ガロ役の松山ケンイチ、ガロの宿敵となるリオ役の早乙女太一、そして脚本を担当した劇団☆新感線の座付き作家でもある中島かずきによる鼎談を行った。キャスティングやアフレコ時のエピソードなど語り合ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
松山「今回のガロは自分の中で材料がなかった」
ーーお三方は劇団☆新感線の舞台などで長いお付き合いだと思います。松山さんと早乙女さんは中島さんの脚本を読んだ時はどんな感想を持ちましたか?
早乙女太一(以下早乙女):「かずきさんだ!」となりましたね(笑)。舞台だと生身の人間がやるから、という部分もあると思うんですけど、舞台で感じるかずきさんのエネルギーを更に強く感じたのが最初の印象です。
中島かずき(以下中島):舞台だと火を扱って戦うなんて無理だからね(笑)。
ーー松山さんはいかがですか?
松山ケンイチ(以下松山):僕はもともと『キルラキル』『天元突破グレンラガン』の大ファンで、この台本を今石洋之監督や檜山修之(ゲーラ役)さんが読んでいるのかと思ってウキウキしていました。でも自分が演じるガロを主体に読んでいくと、これどうやって喋るんだろうなと。普段は台本を読んでいると「こういう風に喋るのか」となんとなくわかるものなんです。『髑髏城の七人』の捨之介、『ふたがしら』の弁蔵の時はそう感じたけど、『蒼の乱』の小次郎と今回のガロは自分の中で材料がなかったんです。
中島:え、捨之介はあるのに?
松山:捨之介は、自分より前に演じている人がいたので、理解することはできました。でも小次郎とガロはなかったんですよ。だからこれは大変だと思いました。ただ、“熱血”という部分では、小次郎もガロも共通していましたし、『キルラキル』『グレンラガン』にも、作品の熱さが必ずあったので、とにかく“熱血”な人間だというのはわかるんですが、自分の中でどう消化して表現するのか見つからなかったです。
台本を読めば読むほど、檜山さんの声が浮かんできました。檜山さんも『勇者王ガオガイガー』の獅子王凱で、すごく熱血な役をやっているから、それが蘇ってきて。でもそういうことではなく、自分が演じるのならどうしようかと、それに困りました。
ーーそれはどのように解決したのでしょう?
松山:ガロ自体もそういう性格なんですけど、計算してもしょうがないなって(笑)。 とにかく出たとこ勝負でぶつかってみて、今石さんもかずきさんもいるし、後で言ってもらおうと思って、とりあえずやってみたんです。そして、僕は『グレンラガン』や『キルラキル』からも勇気をもらっていた側で、今回それをあげる側になったわけだから、気負いやプレッシャーがすごいあったんです。かずきさんには言ってないんですけど、アフレコが最初2日連続で1日休みがあった時に、寝込んじゃったんですよ。今まで撮影で寝込んだこともなかったので、「これだけ叫んだら寝込むんだ」と初めて知りました(笑)。
中島:それはエネルギー切れみたいな感じになったってことなの?
松山:そうです。その時にガロってすごいなと思いましたし、声優さんみんなすごいなと思いましたね。舞台でも寝込んだことなかったのに(笑)。
ーー身体を使うより声だけの演技の方が体力を使うんでしょうか?
松山:だと思うんですよね。
中島:逆に体を使う方がエネルギーを発散する部分はあるかもしれないね。
松山:逃している部分はあるんでしょうね。