『いだてん』杉咲花の走りに見た先駆者の輝き 和装からチュニックへ、女子体育の第1歩

『いだてん』杉咲花の走りに見た先駆者の輝き 和装からチュニックへ、女子体育の第1歩

 女子体育を先導する二階堂トクヨ(寺島しのぶ)にも注目したい。永井道明(杉本哲太)の弟子であり、その勝気な性格で、第14回の初登場時から目を引く存在だったトクヨ。しかし彼女こそ、日本に女子体育を普及させた第一人者である。第18回でトクヨは女生徒たちに「チュニック」と「ダンス」を与えた。自由に体を動かすことのできるチュニックを着た女生徒たちはイキイキとダンスを踊る。ダンスを「破廉恥な舞踊」と呼ぶ永井と対峙したトクヨは、恩師に怖気づくことなく「あなたの教えは古い!」と言い放つ。「女子の体育は女子の手で」と主張するトクヨの表情は活力に満ちている。

 寺島は、永井仕込みの勝気な性格と女性らしい優雅さを併せ持ったトクヨを堂々と演じる。寺島演じるトクヨの強烈な目力とハキハキとした物言いは、男性陣をたじろがせるほどの強さがある。だが、彼女が踊る姿は優雅で美しい。今後、女子体育に立ちはだかる壁を越えるのは、決して簡単ではないだろう。しかし、優雅に踊る寺島の表情からは自信が溢れている。「いずれ必ず、その障壁は越えられる」ということが示唆されているようだ。

 また第18回では、女子体育の出発点との直接的な関わりはないものの、川栄李奈演じる知恵も魅力的だった。五りん(神木隆之介)が女子体育の語り部となった際、和装とチュニックを着用して登場した知恵。「袴に革靴、たすき掛け」姿で登場した際は、「動きづらいし、息も苦しい。これじゃツイストも踊れません」と不服そうな表情を浮かべた。一方でチュニックを着用した際は、ハツラツとしたモデルポーズを披露。古今亭志ん生(ビートたけし)から「足をあげんな、足を」とつっこまれるほど、豪快に足をあげてみせた。川栄演じる知恵のわかりやすいテンションの差は、女子体育の普及によって解放されていく女性を暗喩しているかのようだ。現代から見れば、チュニックも運動着としては動きにくい印象だ。しかし知恵の元気の良い動きを見ていると、チュニックの存在が、女子体育の普及にとってどれほど大きな前進であったかが伝わってくる。

 女子体育に焦点が当たり、オープニング映像にも変化があった。今後も魅力的な先駆者たちが登場するようだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

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