『キングダム』2位の好スタート 『コナン』『アベンジャーズ』の一騎打ちに「待った」をかける

『キングダム』初登場2位の好スタート

 その是非はともかく、ここ数年間は死屍累々の惨状が続いていた(特にアクション系)コミック実写化作品にあって、『キングダム』は際立った成果を残したことになる。昨年公開の『BLEACH』は失敗に終わったものの、過去に『GANTZ』2作、『図書館戦争』2作で前後編作品やシリーズ作品で実績のある佐藤信介監督の起用。要所に大沢たかお、長澤まさみ、坂口拓といった作品全体を「締める」ことができる役者を起用した的確なキャスティング。原作者の原泰久も映画化に深く関わり、「主要なスタッフたちには(『ゲーム・オブ・スローンズ』)シーズン6の第9話を見るように言っていました」とプロデューサーの松橋真三氏が語っていることにも表れている綿密な製作プラン。『キングダム』の成功は、それらの丁寧で真摯な仕事の積み重ねによって成し遂げられた。

 当初は『名探偵コナン 紺青の拳』と今週末公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』の一騎打ちになることも予想されていた今年のゴールデンウィーク興行だが、そこに割って入った『キングダム』、そして最後発の5月3日公開となる『名探偵ピカチュウ』と、四つ巴の史上稀に見る大激戦になる気配が濃厚だ。『アベンジャーズ/エンドゲーム』も『名探偵ピカチュウ』も既に鑑賞済みだが、両作品とも想定される観客の期待を裏切ることのない作品であることだけは保証します。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『キングダム』
全国東宝系にて公開中
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
出演:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、高嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
配給:東宝
製作:映画「キングダム」製作委員会
(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会
公式サイト:kingdom-the-movie.jp

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