『パーフェクトワールド』は王道かつ見応えあるドラマに 松坂桃李が葛藤の末に取り戻した希望とは

『パーフェクトワールド』は王道の恋愛ドラマに

 第1話がつぐみ個人の中だけで糸口をたどるような物語であったとするなら、この第2話はさらに一歩進み、つぐみや樹も含めた周囲の人々との関係性を通し、樹という存在と向き合ってく姿が描かれたエピソードという印象を受ける。それと同時に樹自身の葛藤にもしっかりと迫る。バスケ、そして恋愛と、障がいを背負ったことによって一度は諦める決心をした様々な事柄を取り戻していく樹。それはすなわち、彼の“生きる”ことの希望につながる。雨の中での告白シーンと、ようやく迎える2人のキスシーン。そして樹がマンションの駐車場で拾った新しい命の存在にもそれが象徴されているように見える。

 また、樹の働く建築事務所の代表である剛(木村祐一)が、相手に迷惑をかけられないからと恋愛を諦めていることを語る樹にかける「何で相手が犠牲になるって決めつけてるんだ?」という言葉と、樹の母・文乃(麻生祐未)がつぐみとバウムクーヘンを食べながら「犠牲を強いることになったとしても、樹に幸せになってほしい」と思いの丈を語った言葉。

 樹を取り巻く理解ある大人たちが発する“犠牲”という言葉の持つ多くの意味はどれも、樹自身が抱えていた“諦め”と相反しながら共に存在するものなのかもしれない。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『パーフェクトワールド』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:松坂桃李、山本美月、瀬戸康史、中村ゆり、松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)、岡崎紗絵、池岡亮介、木村祐一、水沢エレナ、堀内敬子、とよた真帆、麻生祐未、松重豊
原作:有賀リエ『パーフェクトワールド』(講談社『Kiss』連載)
脚本:中谷まゆみ
音楽:菅野祐悟
主題歌:菅田将暉「まちがいさがし」<作詞・作曲・プロデュース:米津玄師(EPICレコードジャパン)>
プロデューサー:河西秀幸
演出:三宅喜重 白木啓一郎
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/perfectworld/
公式Twitter:https://twitter.com/perfectworldktv

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