上位7%のハイスペック男子でも結婚できない!? 『東京独身男子』は視聴者の共感を得られるのか

『東京独身男子』は視聴者の共感を得られるか

 そんな伝統ある独身男性のドラマ。統計を見ると、『パパはニュースキャスター』の時代に35~39歳の未婚男性は約15%だったのに対し、現在では35%に増加(2015年国勢調査)。3分の1を超え、未婚、独身男性はもう少数派とは言えなくなっている。しかし、年収1000万円を超えるハイスペック男性がどのぐらいいるかというと、未婚既婚合わせて全体のわずか7%しか存在しない(2017年 国税庁「民間給与実態統計調査」)。『東京独身男子』の太郎たち3人の設定としてはその7%に入っているであろう。さらに三好と岩倉は仕事上の立場からして0.8%しかいない年収2000万円以上の階層だと想像できる。確実に格差社会の上の方にいるわけだが、数としてはマイノリティであり、それだけでまず視聴者の共感は得られにくい。

 現実には、年収は平均ぐらい(男性で約532万円/2017年 国税庁「民間給与実態統計調査」)だけれど、特に結婚はしたくないという考えをもつ人や、結婚したいのだが収入が低くて踏み切れない、相手が見つからないという人の方が多いのではないだろうか。『東京独身男子』を含め、これまでのドラマに出てきたのは高収入のリッチな独身男性ばかりだったが、そろそろ設定を変えるべきとき。多くの視聴者の共感を得るためには、相手の女性に「スペックは高くないけれど愛はあります」とプロポーズしたり、「夫婦共働きなら結婚してもいいけど」と消極的に結婚したりする、そんなリアル独身男子のキャラクターが求められているのかもしれない。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
土曜ナイトドラマ『東京独身男子』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~0:05放送
出演:高橋一生、斎藤工、滝藤賢一、仲里依紗、高橋メアリージュン、桜井ユキほか
脚本:金子ありさ
音楽:河野伸
演出:樹下直美、タナダユキほか
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/tokyo-dokushin-danshi/
公式Twitter:https://twitter.com/AKDanshi
公式Instagram:https://www.instagram.com/akdanshi/

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