『まんぷく』安藤サクラの母としての愛が胸を打つ 物語で初めて描かれた“失恋”
これまでの『まんぷく』では、福子自身が幸のような失恋を味わうというシーンは描かれなかった。ただ、福子の周りにはいつだって味方になってくれる存在がいた。萬平というかけがえのないパートナーと結婚するにあたり、当初は鈴(松坂慶子)から反対を受けた福子。「この人のことが好きだ」と思っていても、誰かから反対されるというのはよくあることである。ただ、同時に応援してくれる人もちゃんといて、例えば、咲(内田有紀)もその1人だった。相談したり、悩みを打ち明けたりすることができる人間がいるだけで、気持ちがだいぶ楽になる。きっと福子はそのことをよく分かっていただけに、幸にエールを送りたいと思う気持ちもひとしおだったのかもしれない。
子どもの頃の幸はいつだって源と2人で行動していた。何かがあったときに、一番に気遣ってくれるのも源だった。だが、大人になった今、昔みたいにいつまでも源と一緒にいるわけにもいかないし(ましてや、自分の恋愛のことをやすやす話せるわけもない)、源も源で自分の人生で精一杯である。しかし、こと恋愛に関して言えば、1人で解決できない物事も多い。何せ人によっては、影法師のように厄介なものに映ることも考えられるものなのだ。そんなとき、1人で抱え込まなくても気軽に打ち明けられる存在が家族にいることを再確認できたことは、きっと幸にとって大きなことであろう。
(文=國重駿平)
■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、松下奈緒、要潤、大谷亮平、桐谷健太、瀬戸康史、岸井ゆきの、松井玲奈、深川麻衣、中尾明慶、毎熊克哉、加藤雅也、牧瀬里穂、西村元貴、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/