『まんぷく』にも浜野謙太、MONKEY MAJIKら登場 朝ドラ、なぜミュージシャンを多く起用?

『まんぷく』なぜミュージシャンを多く起用?

 第15週「後悔してるんですか?」には、画家である香田忠彦(要潤)の絵画モデル役としてゲスの極み乙女。から、ほないこかが出演。色弱な忠彦が自分の画風を見つけ、“美人画”を描こうと決心したモデルとして連れてきたのが、ほないこかだった。彼女は、女優名義では2017年より、さとうほなみとしていくつかのドラマ、CMに出演してきたが、朝ドラは大抜擢と言えるだろう。その整った顔立ちから“美人すぎるドラマー”と言われるほないこかにとっては、ぴったりの役柄であった。

 もうすぐ100作目を迎える朝ドラの歴史においても、『まんぷく』のようにミュージシャンが多く出演した作品はほかにもある。直近で挙げられるのが、3月末に続編が公開にもなる有村架純がヒロインを務める2017年放送の『ひよっこ』(NHK総合)。みね子(有村架純)の叔父・宗男(峯田和伸)は、以前より俳優としても銀杏BOYZとしても成功していたが、この作品を機に大きく飛躍し、以降『高嶺の花』(日本テレビ系)では石原さとみの相手役を演じ、ミュージシャンとしても2度の日本武道館公演を開催している。さらには、みね子とあかね荘に住んでいた久坂早苗を、ドラムボーカリストのシシド・カフカが演じ、その恋人・片岡龍二をTHE COLLECTORSの古市コータロー。宗男と共にビートルズ来日に興奮していた柏木ヤスハルは、ロックバンド・2の古舘佑太郎が演じていた。これは、自身がパーソナリテイを務めるラジオ番組に『今宵、ロックバーで〜ドラマな人々の音楽談義〜』(NHKラジオ)とつけるほどの音楽好きで知られる脚本家・岡田惠和の配役が光っている部分だろう。

 今でこそ星野源はドームツアーを開催するほどにスターダムを駆け上っていったが、朝ドラ『ゲゲゲの女房』(NHK総合)に出演した2010年当時は、まだまだ無名だった。ミュージシャンとしては浜野謙太も所属していたインストゥルメンタルバンド・SAKEROCKと並行して、ソロとして1stアルバム『ばかのうた』リリースを控えた頃。大人計画の舞台を中心に、ドラマの役を数多くこなしていたが、世間に知られることになるのは『ゲゲゲの女房』を経て、ずっと先だ。

 『なつぞら』には今のところ、ミュージシャンの配役は見られない。しかし、前例にとらわれない、前倣えに終わることのない配役が、いつだって朝ドラには息づいているように感じている。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、松下奈緒、要潤、大谷亮平、桐谷健太、瀬戸康史、岸井ゆきの、松井玲奈、深川麻衣、さとうほなみ、玄理、矢柴俊博、加藤雅也、牧瀬里穂、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる