桜井日奈子の笑顔の先にはーー『僕の初恋をキミに捧ぐ』最終回で貫いた“愛する気持ち”

『僕キミ』桜井日奈子の笑顔の先には

 2人の幸せを心から願いたくなる。最後まで色々な人の気持ちを一心に背負い、期待には応え、相手にとって一番かけてほしい言葉をかけ続けていた逞。そんな逞は、繭にもまた、繭の幸せを一番に願った「他の人と幸せになってほしい」という言葉をかけたのだった。しかし心の中には、繭を独占したい気持ち、そうできるかわからない自分を責める気持ちと多くの葛藤が立ちはだかる。病室で1人、絞り出した言葉は「繭を誰にも渡したくない」ということだった。逞にとっては珍しく、自分を中心として語られた台詞だった。

 繭と2人で結婚式を挙げ、大きな手術の意思決定もできる。自立し、自分の判断で人生を歩もうという強いエネルギーを感じずにはいられなかった。ラストは明確な答えの出なかった本作だが、逞は病室を出て自分の足で歩いていける強さのある人間だと感じる。最後の繭の笑顔の先には、逞がいてほしいと強く思う。

 重々しい題材を扱った作品でありながら、ピュアな初恋を追いかけるストーリーで時にはふと笑顔をもたらしていた。桜井の弾ける笑顔と、野村の強い意志を持った瞳によって作品はより彩られ、大御所の生瀬勝久、そして新進気鋭の矢作穂香や富田健太郎らが起用されたことで、安定感とフレッシュさの入り混じる構成で物語は展開していった。同作品を原作とした映画の魅力はもちろんのこと、ドラマ版も多くの人を虜にできたのではないだろうか。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『僕の初恋をキミに捧ぐ』
テレビ朝日系にて毎週(土)23時15分~0時5分放送
出演:野村周平、桜井日奈子、宮沢氷魚、佐藤寛太、馬場ふみか、松井愛莉、矢作穂香、岐洲匠、富田健太郎、福本莉子、是永瞳、真飛聖、児嶋一哉、石田ひかり、生瀬勝久ほか
原作:青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』(小学館刊)
脚本:尾崎将也
演出:宝来忠昭、藤原知之
音楽:富貴晴美
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:神田エミイ亜希子(テレビ朝日)、山本喜彦(MMJ)、森一季(MMJ)
制作:テレビ朝日/MMJ
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/bokukimi/
公式Twitter:@bokukimi2019

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