竹内結子とも相思相愛 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』は水川あさみの魅力が全開に

『Queen』水川あさみの魅力が全開

 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』は、危機管理が専門の弁護士ながら、情報を操作し影で社会を動かす“スピン・ドクター"と呼ばれる人間を日本で初めて題材にしたオリジナル・ストーリー。アイドルグループのスキャンダルや、会社のハラスメント問題、ママ友のご近所トラブルや子育て改革など、普段ワイドショーで取り上げられるようなタイムリーな社会問題を題材にし、事件の真相より、クライアントをいかにして窮地から救い出していくのかを重点に置いている。勧善懲悪ではないところがリアルで、スッキリしない部分もあるが、それを上回るサッパリとした鈴木法律事務所チームの軽妙なやりとりがこのドラマの面白さを引き立てている。

 水川あさみが演じるのは、竹内演じる主人公・氷見江を支える同僚の弁護士・与田知恵。氷見は「正義のためならば嘘すらも正当化させてしまう」という戦略家で、あらゆるジャンルや社会的トラブルの裏側を専門に扱う天才トラブルシューター。そんな氷見の右腕的存在が与田だ。

 アイドルの虚像についての会話では、氷見が与田に例えて「口が悪くて上司に楯突いて、可愛げがなくて、20代に嫉妬して、仕事を鼻にかけて美人なのに愛されない」とからかい、与田が「は? 愛されキャラだし」と答える。それに対して氷見から「知ってる。本当の与田ちゃんは、優しくて、可愛くて、賢くて、最高にいい女だよ」と言われると与田は嬉しそうにうなずく。この可愛いやり取りが、2人の関係性と与田のキャラを分かりやすく表現している。

 女性弁護士がタッグを組むとなると、意見が食い違って対立したり、性格が異なることで物語が作られていくというのが定番であるが、現段階では、この2人はサバサバとした明るい性格で、事件に対し同じ方向を向き、同じような感覚で問題に対峙していくので関係性が実にスマート。「仕事したくな~いと」とダラダラとしたり、事件に関わるワイドショーを見て一般視聴者のように毒舌を吐いたりするやり取りが、友達と喋っているようなリアルさで面白い。

 また、後輩の藤枝(中川大志)と姉弟のようなヤンチャなやり取りや、情報収集のために合コンに参加した際には「24歳です。ハフッ」とあひる口や萌え袖をする過剰なぶりっ子を演じたと思いきや、依頼人には心に寄り添うような優しい言葉をかける大人の対応を見せるなど、表と裏のギャップを使い分ける演技が絶妙で、その自分に自信を持った“デキる女”の仕事ぶりが、女優としての今の水川と重なる。

 氷見と与田の相思相愛なバディぶりや、オシャレなところ、振り切ったコミカルさと大人の魅力を自然に発揮する水川の演技は、どこか『あぶない刑事』(日本テレビ系)の柴田恭兵が演じたユージの立ち位置を思い出させる(ちなみに映画『まだまだあぶない刑事』に水川は出演)。竹内という先輩を立てつつ、脇役に回るのではなく、水川をもう一人の主人公として物語を成立させているのは、水川の演技力に他ならない。まさにそれがバディものの真骨頂と言え、名コンビ誕生の予感をさせる。

 「変わらないことは変わり続けること」という言葉があるが、20代の頃のキャラを保ちつつ、随所で大人の落ち着きを見せ、年齢を重ねていくことで更に美しくなっていく水川は、まさにそれを体現している女優ではないかと感じる。その格好良さが女性にウケる由縁であり、それは竹内結子にも同じことが言えるのかも知れない。

(文=本 手)

■放送情報
『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00〜放送
出演:竹内結子、水川あさみ、中川大志、泉里香、バカリズム、斉藤由貴ほか
脚本:倉光泰子、三浦駿斗
主題歌:YUKI
オープニングテーマ:milet
音楽:SOIL&”PIMP”SESSIONS
編成企画:加藤達也
演出:関和亮、横尾初喜、山岸聖太、戸塚寛人
制作協力:ソケット
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/QUEEN/

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