1月クールは弁護士ものラッシュ! “ちゃんとした”リーガルドラマは日本に根付くのか?

 日本では弁護士の仕事を真面目に描くドラマが当たらないのも、もともとの理解が低いせいかもしれない。『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』がヒットしたのは、国家権力である検察を相手に0.1%の勝率でも戦うというテーマが勧善懲悪の好きな日本人の好みにハマったということ。さらには主人公・深山(松本潤)の勤める法律事務所の面々が深山も含め変人ぞろいで、法律や裁判のことはピンとこなくても、キャラクターの面白さで見られるという点が大きい。同じくシリーズ化した『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)も、主人公・古美門(堺雅人)の変人ぶりが目立つ“なんちゃってリーガルドラマ”だった。

 秋ドラマの『SUITS/スーツ』や『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』にもキャラクタードラマの要素が強く、法律事務所のメンバーは『SUITS/スーツ』の蟹江(小手伸也)、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』の前科のあるパラリーガルたちなど、個性派ばかり。さらに両作品とも、弁護士が勝つためならあっさりと捏造や偽証などの違法な手段を使うので、その点でもリアリティがなかった。

『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(c)フジテレビ

 新ドラマの中で『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』は、個性ぞろいの法律事務所メンバーが登場するチームもので、おふざけ感もあり、『SUITS/スーツ』や『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』と同じ路線で受け入られやすそうだ。逆に敷居が高いのではと懸念されるのは、シリアス路線の『グッドワイフ』と『イノセンス 冤罪弁護士』。『グッドワイフ』にはアメリカのドラマを日本でトレースするという難しさも加わる。例えば日本版『SUITS/スーツ』はアメリカ版のままの設定が多く、いまひとつリアリティに欠けた。日本の法律事務所でアソシエイト(若手弁護士)の採用条件が「ハーバード(ロースクール)卒」と言われても、笑ってしまうだけだ(なぜ東大卒に変更しなかったのだろう)。セリフもアメリカ版に忠実ではあるが日本人らしくないやり取りが多く、音声だけ聞いていると、まるで海外ドラマの吹替版を点けているような違和感もあった。

 『グッドワイフ』は専業主婦の仕事復帰という今、日本でも広く共有されるテーマを描いており、原作どおりであれば弁護士が違法な手段は使わないはずなので、『SUITS/スーツ』よりリアリティがあり、共感は得られるかもしれない。『イノセンス 冤罪弁護士』も罪なき人のために戦う勧善懲悪ものであり、かつ、社会派サスペンスの得意な古家和尚が脚本を書いているので、ちみつなストーリーテリングが期待できる。おふざけ少なめ、弁護士が変人キャラでなくても、多くの人に観てもらえるかどうか? この1月クールがリーガルドラマの試金石となりそうだ。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
日曜劇場『グッドワイフ』
TBS系にて、2019年1月13日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54放送(初回25分拡大)
出演:常盤貴子、小泉孝太郎、水原希子、北村匠海、滝藤賢一、賀来千香子、吉田鋼太郎、唐沢寿明
第1話ゲスト:武田鉄矢、泉澤祐希、野間口徹、伊藤さおり、井本貴史
第2話ゲスト:橋爪功、松本紀保、木本武宏
脚本:篠崎絵里子
チーフプロデュース:瀬戸口克陽
プロデュース:東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
原作:based on “The Good Wife” produced in the United States by CBS Television Studios in association with Scott Free Productions and King Size Productions, and distributed by CBS Television Distribution”
制作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/the_good_wife2019/

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる