1月クールは弁護士ものラッシュ! “ちゃんとした”リーガルドラマは日本に根付くのか?
10月クールの連続ドラマは、米倉涼子主演の『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)と、アメリカの人気ドラマの日本版としても注目された月9『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)が視聴率では上位。どちらもリーガルドラマ(弁護士もの)だった。来たる1月クールは、弁護士ものがさらに3本に増加する。常盤貴子主演の『グッドワイフ』(TBS系)、竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)、坂口健太郎主演の『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)で、『グッドワイフ』は『SUITS/スーツ』と同じくアメリカの同名ドラマが原作になっている。
なぜ冬ドラマに弁護士ものが集中したのか? ひとつ考えられるのは1年前の2018年1月クールで最大のヒットとなったのが『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)だったということ。このクールでも年間を通しても最も高い視聴率を獲得した。これで今は弁護士ものが当たるというマーケティングが成り立ち、各局が後追いするように類似の企画を立てたとも考えられる。ただ、この平成のドラマ史を振り返ってみても、弁護士ものが当たった例はどちらかと言えば少なく、地上波でシリーズ化されたのは天海祐希主演の『離婚弁護士』(フジテレビ系)ぐらい。刑事・警察ものや医療ドラマに比べたら、まだまだ成功例は少ない。
海外ドラマを観る人なら、アメリカでは法廷ドラマが多いというのは周知の事実。『グッド・ワイフ』『SUITS/スーツ』はもちろん、弁護士経験のあるクリエイターが手がけた『ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル』『ボストン・リーガル』『弁護士ビリー・マクブライド』など。さらに裁判がメインではないが、弁護士が主人公の人間ドラマも『アリー my Love』『私はラブ・リーガル』などなど、星の数ほどある。それゆえ、日本でもドラマの1ジャンルとして認知されているが、実は日本人にとって弁護士は、アメリカ人にとってほど身近な存在ではないのだ。
『裁判所データブック2018』によると、弁護士の数は日本が約4万人なのに対し、アメリカは約126万人。約30倍だ。人口比でアメリカの人口は日本の3倍として計算しても、日本の10倍以上の弁護士がいることになる。日本の感覚で言えば、有資格者約50万人と言われる(『理美容ニュース』を参照)美容師ぐらいの感覚だろうか。そもそも日本の視聴者で弁護士のお世話になったことがある人はどのぐらいいるのだろう。むしろ弁護士に会ったことすらなく、テレビのワイドショーなどに出ている弁護士しか知らなかったり、ラジオで流れる法律事務所のCMのイメージしかなかったりする人も多いのでは? ちなみに筆者の身近にいる小学生たちに弁護士の仕事とは何か? と質問してみると、「“からばい”金をもらう人」という答えが返ってきた。それが小学生のリアルな感覚らしい。むしろドラマでも、弱者のために“過払い”金を悪徳な金貸しから取り戻す弁護士のリアルな活躍を見たい。