岡田将生が竜星涼と成海璃子に繋いだバトン 『昭和元禄落語心中』が描いた強い絆と芸の力

『昭和元禄落語心中』が描いた芸の力

 八代目有楽亭八雲(岡田将生)の一生を10話かけて描き切ったNHKドラマ10『昭和元禄落語心中』。ひと言でいうのならば八雲は幸せな生涯を送ることができ、笑ってその寿命を全うした。“落語と心中する”と決めていた八雲の最後は、与太郎(竜星涼)や小夏(成海璃子)といった大切な者たちに自分のバトンを受け渡すという形になった。

 小夏は助六(山崎育三郎)とみよ吉(大政絢)の死の真相を探っていた。そんな中、助六と菊比古が二人会を開いたときの映像が見つかり、与太郎らとともに見ることに。そこには彼女たちが知らない、楽しそうに落語をやる若い頃の八雲の姿が映されていた。

 小夏は助六の「芝浜」を見て、自分がパニックに陥り、結果的に両親を殺してしまったことを思い出す。そして同時に自分の罪を八雲が何十年も背負い続けてくれたことにも気がついた。これまで隠し続けてきたことをようやく全て打ち明けることができ、八雲と小夏は、本当の家族としての絆を手に入れた。小夏は八雲に弟子入りを志願し、女性落語家としての道を歩み始める。

 かつて落語のために孤独を選んだ八雲だったが、気がつけば、与太郎、小夏、松田(篠井英介)、信之助と多くの家族がそこにはいた。縁側で小夏と信之助と笑い合いながら、ラジオから流れる与太郎の「のざらし」を聞いていた八雲は自分でも気づかぬ間に冥土へとたどり着いていた。

 冥土には助六とみよ吉の姿があった。助六の「おめえは落語を信じて人を愛した。おかげで俺も成仏できる」という言葉に八雲は涙する。このセリフに八雲がかつて助六とした約束が思い返される。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる