『中学聖日記』新井順子Pの“泣けるラブストーリー”への熱意 「賛否両論あるとは覚悟していた」

新井順子Pが語る、『中学聖日記』の裏側

「晶を探すのはものすごく時間がかかりました」


――岡田さんのキャスティングも挑戦的な試みだと感じました。

新井:当初は高校生ぐらいの年齢の子にしようと思っていました。オーディション当時、岡田くんもまだ高校生で、ちょうど子どもと大人の間にいて、田舎に暮らしている、すごく晶っぽい子だなと感じました。東京に住んで芸能活動している子は大人っぽかったんです。お芝居は出来るんだけど、朴訥さが感じられなくて。ある程度名前が知られている20歳オーバーの方をキャスティングすることも考えましたが、それこそ中学生には見えない。もう新人を探すしかないとなって。事務所さんにスカウトしてきた子を連れてきてもらったり、雑誌をめくって、読者モデルのような子たちや、ストリートスナップ写真からも探しました。そういうのを含めたら、オーディションしたのは何千人になりますね。

――それくらい晶の役は重要だったんですね。

新井:原作では主人公なので、やっぱり晶を見たいと思わせたくて。こだわりもありましたし、晶を探すのはものすごく時間がかかりました。

――岡田さんに決めたのはどういう理由で?

新井:彼の場合は、初めて会った時にまだ芸能界に入るか決まっていなかったので、選考対象ではありませんでした。でも、すごく真っすぐで目がキラキラした子だなという印象があって、「芸能界に入ることになったらまた来てください」と伝えて。そのあと事務所に入ったと聞いて、再度オーディションに来てもらいました。

――現場では岡田さんの初演技はいかがでしたか。

新井:セリフを言ったあと、普通だったらこういう顔するだろうなと思う場面があるのですが、彼は予想外の表情を見せてくれるんです。第3話で晶がコンビニから聖の家に帰ってきて、勝太郎(町田啓太)と鉢合わせしてしまうシーンで、普通だったら「……」と、シュンとした顔をすると思ったんですけど、彼は「え!?」と驚いた顔をして。本人は「(この状況は)びっくりしますよね」と。その反応に驚きました(笑)。そうか、これが普通のリアクションなんだな、なるほどと。レッスンもそこまで多くやっていたわけではなかっので、ほとんどが彼の素直なリアクションなんですよね。第1話で晶が「好きです」と伝えたあと、聖から「ありがとう」と言われて、「え、どういう意味?」とキョロキョロするんですが、「あ~そういう芝居の選択肢はなかったな」と監督がとても気に入っていました。普通だったら「ちぇ」みたいな顔をすると思うのですが、すごく特殊なリアクションをするから、芝居慣れしてないことが逆に良くて面白いんです。第2話の図書室では、聖から「分からないところある?」と聞かれて、「分からないところ、分からないところ?」と岡田君が本をめくりながら探していて。「次に言うセリフがあるから、本当に探さないで早くセリフ言って!」と内心思ってしまうのですが(笑)、「分からないところって聞かれたので、探しました」と。監督もそれでやってみようかと、そのシーンではそのまま岡田くんの反応が使われました。すごく不思議な芝居をする独特な感覚は、初めてだから生まれてくるんでしょうね。

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