C・ブランシェット「異性愛者にも同性愛者を演じる権利はある」と主張 映画界の多様性を考える

C・ブランシェットの主張から考える映画界の多様性

 ここ数年トランスジェンダーを題材にした映画は増加しており、その表現方法も変化している中で、歴史的に差別されてきた背景をしっかりと描写する作品(『ダラス・バイヤーズ・クラブ』(2013年)や『リリーのすべて』(2015年)など)が増えてきたように感じられる。ブランシェットはLGBTの役を演じた経験からこのような発言をしたと考えられるが、実際にトランスジェンダーである俳優たちの意見は全く異なるようだ。

『リリーのすべて』(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.

 トランスジェンダーではない異性愛者の俳優がトランスジェンダー役を演じることがほとんどで、実際にトランスジェンダーである俳優にチャンスは少ないことを、トランスジェンダーであることを公表している俳優トレース・リセットはヨハンソンの件に関連して苦言を呈している。

 リセットはハリウッドの全体を象徴する問題として「もし私がジェニファー・ローレンスとスカーレット・ヨハンソンとシスジェンダー(生まれたときに診断された身体的な性別と自分の性同一性が一致し、それに従って生きる人のことであり、トランスジェンダーを差別的に扱わないため非・トランスジェンダーを表現する言葉)役のオーディションを受けることができたらいいけど、それは起こらないことよ。めちゃくちゃだわ」と自身のTwitterで発言している。

 同じくトランスジェンダーを公表している、俳優のジェイミー・クレイトンも「トランスジェンダー俳優は絶対にトランスジェンダー役以外のオーディションは受けられないわ。これは本当の問題よ。私たちはオーディション会場にさえ入ることができない。トランスジェンダー俳優にトランスジェンダーではない役を与えるべきよ!」とTwitterで述べている。

 たしかにトム・ハンクスは映画『フィラデルフィア』(1993年)、ショーン・ペンは映画『ミルク』(2008年)、フィリップ・シーモア・ホフマンは『カポーティ』(2005年)で同性愛者役を演じアカデミー賞主演男優賞を受賞している。映画『キャロル』のケイト・ブランシェットを含め、今まで52人の異性愛者の俳優が同性愛者を演じ、アカデミー賞にノミネートされているのだ。

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