『黄昏流星群』石川恋が駆け落ちする衝撃のラスト 藤井流星とは対照的な人物像に
育ちのいい春輝だからこそ、自分を犠牲にしてまで家族に尽くしてしまう真璃子が好きだというのが頷ける。なぜなら春輝の育った家庭は、そういった価値観が横行する家庭だったように見受けられるからだ。ガンが進行し、体調が優れない母の代わりを探すかのように、献身的な女性を探す春輝はまさにマザコンというに相応しい姿だろう。爽やかで相手をリスペクトする気持ちのある春輝と、尽くしすぎてしまいがちな真璃子は、年は離れているものの相性は良いように思う。そんな春輝の婚約者である美咲は、献身的どころか自己中心的で自分の進みたい道を自分で切り拓くタイプの女性。美咲は完治にそっくりで、春輝とは対照的にファザコンであるように感じる。2つの家庭の家庭環境までもが描き出される本作は、恋愛観や結婚に対する意識が家庭に由来することを意識せずには観られない作品だ。美咲と真璃子が衝突するシーンでは、親にも関わらず真璃子の方が先に折れる。美咲の物言いは、どことなく夫サイドの言い分にも聞いて取れ、完治が不在の家庭で美咲がどう育ってきたのかがわかった。
不倫に対する躊躇いのなさに、観ていて心がザワザワとすることもあるが、改めて家族が「家族」という形を崩さないことの意味を考えさせられる。結納まで済ませたにも関わらず出ていった美咲は、今後どう振る舞うのか。それに伴い、必然的に真璃子と春輝の行方も定まるだろう。さらに、周りが一つ一つ決着をつけていく中で完治がどのような行動に出るのかも注目したい。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
木曜劇場『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:佐々木蔵之介、中山美穂、藤井流星(ジャニーズWEST)、石川恋、礼二(中川家)、八木亜希子、小野武彦、黒木瞳ほか
原作:弘兼憲史 『黄昏流星群』(小学館『ビッグコミックオリジナル』連載中)
脚本:浅野妙子
プロデュース:高田雄貴
演出:平野眞、林徹、森脇智延
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/tasogare/