劇団EXILE 小野塚勇人、『恋のしずく』共演者から学んだこと 「時間を共にすることがプラスに作用」
日本酒を題材にした映画『恋のしずく』が10月20日より公開中だ。東広島市・西条を舞台に、東京から日本酒の酒蔵へ実習にきた女子大生が、酒を作ることを通して人生を学び成長するヒューマンドラマ、そして地方を舞台にした“家族の物語”に仕上がっている。主演はAKB48卒業後、女優として活躍する川栄李奈。また、酒造の蔵元の息子を劇団EXILEの小野塚勇人が演じている。
今回、リアルサウンド映画部では小野塚勇人にインタビュー。小野塚は、2016~2017年に放送された『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)で、九条貴利矢/仮面ライダーレーザーを好演。主人公の相棒として親しまれ、一度は作中から姿を消すもその反響を受け、敵役として復活するという異例の展開で話題を呼んだ。今回、小野塚が東広島市でのオール地方ロケや、本作が遺作となった大杉漣らベテラン俳優との共演から学んだこととは? また、EXILE HIROがプロデュース、青柳翔、鈴木伸之、町田啓太ら劇団EXILEが総出演する『jam』をはじめとする今後の役者活動についても話を聞いた。(編集部)
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「酒蔵の実態や現状を知ることから始めた」
ーーオファーをもらった時の感想は?
小野塚勇人(以下、小野塚):僕の演じる莞爾は、広島の伝統ある酒蔵の息子で、地方色が強いという意味では挑戦だなと思いました。方言や、日本酒の知識もなかったので、撮影が始まるまでに準備することも多くて。酒蔵の実態や現状を知ることから始めました。
ーー瀬木直貴さんは、これまでも地域社会を舞台に作品を撮ってきた監督ですね。
小野塚:今回の『恋のしずく』でも、ひとつひとつ丁寧に、莞爾のバックボーンや人物像について事前に話し合いました。その中で、僕の持っている莞爾像と、監督の持っている莞爾像を照らし合わせていき、そこは上手くいったかなと思います。クランクインする前に、実際に舞台になる東広島で酒蔵を見学したり、地元の人に話を聞くこともできました。
ーー現地の人とはどういう話を?
小野塚:踏み込んだ話を聞くことができました。酒蔵が昔どれだけ賑わっていて、今は少なくなっているという現状や、後継問題についても。初対面でそういうことを尋ねることに最初は躊躇いがありましたが、不思議な空気感で、自然な感じで深い話までできました。地元の人が率直に話していただいたおかげで、僕もすっと莞爾という役に入り込めました。
ーー莞爾にはどんな印象を持っていましたか?
小野塚:自分と莞爾の共通項を作った時に、ちょっとめんどくさいやつだと思いましたね。素直になりきれず頑固になってしまう。親父と素直に話せば分かり合えるはずなのに、それをあえてしない。とんがって弾いちゃうような感じですね。自分に似てるというか、わかるな、と。特に緻密に役作りをしたというよりは、「広島で自然に囲まれて育った酒蔵の息子」という根本的な部分を大事にしました。
ーー莞爾はクールな一面もあるけど、実は情熱的で、伝統を守りながらも新しいことに挑戦しようとする姿勢を感じました。
小野塚:そうですね。親父に対しては仲が悪く最初はドラ息子に見えると思うのですが、自分なりに蔵を守っていく考えを持っています。地元の人と話した時に「自分の子供に蔵を継がせて、自分と同じ苦労をかけることはしたくない。でも、毎年酒の時期になると白い煙があがる情景が見れなくなるのは寂しい」と話していました。莞爾もそういう思いだと思うんです。180年という酒造の歴史を絶やしたくない。でも今までの伝統を守っていくだけでは厳しい。だからこそ今後について話し合うべきだけど、親父と息子はそれができない。同じものを持ってるからこそ反発し合ってしまうんですよね。