山崎育三郎の明るさが岡田将生の背中を押す 『昭和元禄落語心中』で描かれた落語界の光と影

『昭和元禄落語心中』落語界の光と影

 戦争が終わり満州慰問へと行っていた初太郎も帰国。2人は二ツ目へと昇進し、貧乏ながらも2人暮らしを始めることとなる。戦争を乗り越え、寄席にも多くの人が訪れるようになった。初太郎の言葉通り、落語界は再び軌道に乗り始めたのだ。劣等感に襲われることもあった菊比古だが、常に明るく前を向く初太郎のおかげで、厳しい時代でも落語の世界に身を置き続けられたのだろう。

 時代背景を丁寧に描くことで、菊比古の心情に視聴者もより一層、感情移入することができる。NHKの十八番とも言えるこの演出には、流石という他ない。もちろんそれは岡田扮する菊比古、山崎扮する初太郎の説得力のある落語シーンがあってのもの。戦争が終わり、娯楽文化が盛り上がりを見せる昭和中期から後期をどう描くのかに注目することで、本作の見え方も変わってくるかもしれない。

(文=馬場翔大)

■放送情報
ドラマ10『昭和元禄落語心中』
NHK総合にて、毎週金曜22:00~放送
出演:岡田将生、竜星涼、成海璃子、大政絢、山崎育三郎
脚本:羽原大介
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/drama10/rakugo/index.html

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