岡田将生ら役者陣の落語シーンは息をのむ迫力! 『昭和元禄落語心中』は演目の演じ分けにも注目
第1話で描かれるのは、八雲に弟子入りした与太郎の葛藤、八雲と小夏の関係性が中心となるが、随所に登場する落語シーンは、息をのむほどの迫力。落語は、どの噺家がしゃべるかによってまったく別のおもしろさがあり、八雲はクールでじっくりと聞かせる落語、助六は人を惹きつける笑いのある落語、与太郎は若さ溢れるパワフルな落語をそれぞれ披露。落語シーンに突入した際の臨場感、さらに、各噺家の個性も大きな見どころとなるだろう。また岡田は会見の際、「(八雲が)年を取ってからの『死神』と、若いときの『死神』が全然違う」とコメントしているだけに、同演目の演じ分けにも注目したい。
ドラマは過去と現在が交錯する物語であり、岡田は10代から老年までの八雲を演じる。第1話は現代パート(昭和50年代)から始まるため、そこに映し出される岡田は、笑顔がかわいいいつもの彼とはまるで違う。白髪まじりの頭といったビジュアル面のみならず、貫禄あるゆったりとした動きと口調、他を圧倒する存在感など、その場の空気をも含めて名人・八雲を体現。一方、ふだんはミュージカル界のプリンスと称される山崎も、本作では小麦肌の天才落語家へと180度方向転換。山崎自身が「喬太郎師匠から『うまく歌うな』と言われたが、下手に歌うのが難しい」と、複雑な胸中を語った『野ざらし』をはじめ、その熱演に期待してほしい。
『昭和元禄落語心中』は、若者に訪れた落語ブームの火付け役。原作・アニメは落語家からも絶賛の声が上がっており、今回、満を持して実写ドラマ化となる。人気俳優陣が紡ぐ映像を通じて、落語になじみのない視聴者も、決して華やかなだけではない落語の世界を、気張らず堪能できるところも魅力のひとつ。そして、人間味溢れる骨太なストーリーが、このドラマの支柱となることは言うまでもない。刑務所あがりの与太郎が、人として落語家として成長していく姿に心温まる一方で、現実世界に引き戻すかのように、助六の死を巡るミステリーが顔を出す。加えて、要所要所に映し出される落語シーン。その緩急に、誰もがきっと引き込まれるに違いない。
■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter
■放送情報
ドラマ10『昭和元禄落語心中』
NHK総合にて、10月12日(金)より毎週金曜22:00~放送
出演:岡田将生、竜星涼、成海璃子、大政絢、山崎育三郎
脚本:羽原大介
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/drama10/rakugo/index.html