加藤シゲアキ×小山慶一郎、“真の友情”を紡ぐ 『ゼロ 一獲千金ゲーム』NEWSの記念碑的作品に

 賞金1000億円を目指し、命をかけた壮絶なサバイバルゲームに挑む若者たちの姿を描いたドラマ『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)。『カイジ』や『アカギ』などでおなじみの福本伸行作品のひとつ『賭博覇王伝 零』が原作で、福本作品ならではのオリジナルギャンブルゲームや、時に仲間をも裏切ることになる心理戦が見どころだ。9月16日に放送された最終話では、主人公・宇海零(加藤シゲアキ)を幾度となく追い詰めてきた在全グループ秘書・後藤峰子(小池栄子)と零の一騎打ちが描かれる。そして彼らの勝敗の鍵を握るのが、第9話の最後に現れた車椅子の男・ミツル(小山慶一郎)である。

 小山が演じるミツルは、4年前まで零の大親友だった。4年前にゼロが起こしたある出来事がきっかけで、ミツルは人生を失う。そして峰子と零の一騎打ちの場に連れ出されるまで、行方不明となっていた。ミツルとの間に起きた出来事は、零の生き方をも大きく変えるものだった。「目の前の命を必ず守る」という零の正義感は、4年前にミツルを助けられなかったという過去からつくりあげられている。

 ミツルとして登場した小山は、初見では味方なのか、敵なのかが分からない不穏な笑みを浮かべていた。零とミツルの間に漂う不穏な空気は、何度も挿入された回想シーンと今まさに対峙している2人の描写から伝わってくる。回想シーンでは、零に対して怒りをあらわにするミツルの表情が何度も映し出されるのだが、峰子との一騎打ちの場に現れたミツルは穏やかな表情を浮かべている。幾度となく仲間同士の裏切りを経験している零や視聴者にとって、この穏やかさに何が隠されているのか不安になったはずだ。4年もの間に、零に対する感情が変わっていったのか、それとも零を陥れるための罠なのか。

 結論、ミツルの穏やかな表情は、4年の歳月を経て考え方が変わったことの表れだと明かされる。峰子との決戦前夜を過ごす零の前に現れたミツルは、「後藤峰子は自分の姉だ」と告白する。ミツルは4年間在全グループに匿われていたこと、4年前の出来事に対する考え方が変わったことを零に伝える。小山の表情は穏やかで、かつて大親友だった零の身を案じる優しさが表れていた。ミツルを助けられなかったことがきっかけで、夢を諦め、人を助ける義賊となった零は、目の前に現れたミツルに安堵の表情を浮かべる。数多くの裏切りや信頼が失われていく様子を描き続けてきた今作において、このシーンでの零は、最も安らいだ表情を浮かべていたように感じる。それだけ、義賊となるきっかけをつくったミツルの存在は、零にとって大きかったということだろう。

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