加藤シゲアキ×小山慶一郎、“真の友情”を紡ぐ 『ゼロ 一獲千金ゲーム』NEWSの記念碑的作品に
しかし在全(梅沢富美男)が、そんな穏やかな空気を許すはずもない。峰子と零の一騎打ちの最中、峰子の耳元で伝えられたのは「峰子が負ければ弟を殺す」という残酷な条件だった。峰子たちから引き離され、峰子の勝敗で自身の生死が決められることを告げられたミツルは途端に陰を落とす。自身の人生に必ず絡んでくる零に対して、複雑な思いを吐露するミツル。「心のどこかでまだ零を許せていない」とつぶやくミツルだが、台詞にはなくとも、零を信じているような表情も見せる。導入される回想シーンには、怒りを露わにし零を拒絶するミツルに対し、「必ず助けに来る」とはっきり伝える零の姿が映し出されるのだ。ミツルが行方不明になったのは、零が助けに来なかったからではない。ミツルが在全グループに助け出され、匿われていたからだ。小山は、「零を許せない」と呟きながらも、零を信じて待ち続ける親友の複雑な心境を演じきっていた。
そして零も、ミツルとの約束を忘れていなかった。「弟を殺す」と脅された峰子の動揺を感じとった零は、ミツルの身を案じ、わざと勝負に負ける。確実に勝てる一手を捨て、運で勝敗が決まるゲームに仕掛けを投じたのだ。「自分が勝つことより、他人が負けないことを選ぶ」天才勝負師の零。「目の前の命を必ず守る」という正義と、ミツルに発した「必ず助けに来る」を貫いた瞬間だった。ミツルのもとへ駆けつけた零の表情は明るい。今度こそ、親友の命を守ることができたからだ。ミツルもまた、約束を果たした零に影のない明るい笑顔を見せる。零とミツルは握手を交わすのだが、2人の表情からは加藤と小山自身の信頼関係も伝わってくるようだった。彼らが向き合う姿は「『命がけのゲーム』に身を投じる若者たちが助け合い、笑い合い、真の友情を紡ぎ上げていく物語である」という、今作のイントロダクションに合っている。零にとってミツルとの不和が解消されたラストは、ゲームの勝者になることよりも価値あるものだっただろう。
おりしも「NEWS結成15周年」を記念するドラマとなった今作。福本伸行作品らしい心理描写を残しつつ、友情出演したメンバーの熱演も相まって、“真の友情”を築き上げていく熱いドラマとなった。NEWSのメンバーにとって、思い入れのある作品になったのではないだろうか。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
『ゼロ 一獲千金ゲーム』
出演:加藤シゲアキ(NEWS)、間宮祥太朗、小関裕太、加藤諒、岡山天音、杉野遥亮、佐藤龍我(東京B少年/ジャニーズJr.)、ケンドーコバヤシ、梅沢富美男、小池栄子
原作:福本伸行
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
(c)日本テレビ
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