石橋静河、『半分、青い。』佐藤健の妻役で示した存在感 今年後半には話題の出演作も多数

石橋静河、『半分、青い。』より子役の実力

 山田孝之と菅田将暉のW主演ドラマ『dele』(テレビ朝日系)第2話での好演も印象的であった石橋は、2015年から女優活動を開始。彼女が石橋凌と原田美枝子の次女であり、デビュー当初より大きな期待を背負っていたことを知る方も多いだろう。テレビでの活動がこれまでほとんどなかったため、『半分、青い。』での登場に際しても「より子役の女優は誰だ?」といった声が方々で見受けられたが、知る人ぞ知る女優である彼女に早くから注目していた方もまた多い。現に彼女は日本の映画界の数多いる女優たちのなかで、とてつもないスピードで頭角を現しつつある。

 2016年に野田秀樹演出による『逆鱗』に出演し、三島有紀子監督作『少女』で映画デビューを飾った石橋。その後は現在に至るまで、映画を中心に立て続けに話題作に起用されており、昨年公開された『PARKS』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』では大抜擢と言っていいポジションを見事にまっとうした。とりわけ昨年の映画賞を席巻した後者では、池松壮亮とのW主演にして彼女は映画初主演。看護師として勤めながら、夜はガールズバーで働くという生活を送るヒロイン・美香を好演したのである。2017年、現代の東京という生きづらい世界の片隅で、池松演じる日雇い労働者・慎二と静かに身を寄せ合うさまには、多くの者が胸を締め付けられ、同時に胸を躍らせたことだろう。渋谷の街を進む彼女の足取りは軽く、包容力ある落ち着いた雰囲気と聞き心地のいい声は、池松演じる慎二が心の拠り所に選んだのにも頷ける。女優としてのキャリアはまだ僅かながらも彼女がこのキャラクターを体現し得たのは、幼少期よりクラシックバレエやコンテンポラリーダンスといった、身体をつかった“表現”に親しんできたことも理由の一つなのだろう。そして何より、彼女の両親同様に、大きなスクリーンが似合うのである。

 2018年後半の石橋は、佐藤泰志の同名小説を原作とした『きみの鳥はうたえる』や、松田龍平が『青い春』ぶりに豊田利晃監督作で単独主演を務める『泣き虫しょったんの奇跡』、これまで多くのCMやMVを手がけてきた関根光才の長編劇場デビュー作である『生きてるだけで、愛。』と、参加した話題作の公開が控えている。朝ドラ『半分、青い。』によって広くその名を知られたことは、メインである映画での活躍の架け橋ともなるのではないだろうか。今後もっとも、目の離せない女優である。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊、上村海成/豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳/間宮祥太朗、斎藤工、嶋田久作、キムラ緑子、麻生祐未、山崎莉里那
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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