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『カメラを止めるな!』ヒットの芽はいかにして育まれたのか? シェアしたくなる理由を分析

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 今年上半期の映画界の最大のニュースは、『カメラを止めるな!』の大ヒットだろう。イベント的な特別上映のみのはずが、映画ファンの目に留まり、都内2館でのミニシアターでの興行が連日満員続き。本作を観た観客の熱気はとどまることを知らず、その人気はどんどん拡大していった。本興行から約1ヶ月経った7月下旬ごろには、テレビをも賑わせることになり、注目度は全国レベルに昇りつめ、シネコンチェーンでの拡大公開が決定した。

 無名の役者、無名の監督のワークショップの企画映画がここまで騒がれることになるとは誰も予想しなかっただろう。これはもはや事件である。SNS時代は口コミが大事とはよく言われるが、大きな宣伝費を投入したわけでもなく、本当にそれだけでここまできた映画は他に例がないのではないか。

 一体、この映画の何が人々の心を捉えたのだろうか。本作のヒットの芽はいかにして育まれたのだろうか。

ミニシアターが育んだ大ヒットの芽

 本作の人気拡大の流れは概ねこのようなものだ。

2017年11月のK’s cinemaでの特別上映時に一部の映画ファンの間で密かな高評価を獲得

2018年3月のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で観客賞を受賞、さらに映画ファンの認知を増やす

6月23日、K’s cinemaと池袋のシネマ・ロサで限定公開。連日満員で熱狂的に迎えられる。このあたりから熱狂の度合いが大きくなっていき、有名人のツイートなどで、世間的な注目度も高まり始める。

シネコンの川崎チネチッタが上映を開始し、7月下旬ごろには頻繁にウェブニュースに掲載されるようにもなり、テレビの情報番組も本作を取り上げ始める。

8月3日の拡大公開日(16館)に、さらなる爆発的なツイート数を記録し、週末の興行収入ランクでも10位に食い込む。今後上映館はさらに増えていく予定。

 これだけの認知を獲得するに至ったのは、6月下旬の本公開以後、多くのインフルエンサーの目に止まったことが大きな要因として挙げられるだろうが、本作はそもそもENBUゼミナールのワークショップ企画の映画であり、2017年11月の上映しか予定されていなかった。そこから命脈をつなぎ、6月の再上映を実現させたのは、一部の映画ファンや評論家の支持であり、作品のポテンシャルを見抜いた配給会社と興行会社の先見の明だ。

 とりわけ2017年11月、そして6月23日の封切りを担った新宿のK’s cinemaの功績は大きい。普段からインディーズの邦画を数多く上映する劇場だが、世間から大きな注目を浴びにくい作品を、これまでも数多く世に送り出してきた。

 『カメラを止めるな!』は、インディーズ映画が口コミの風に乗ってシネコン上映まで拡大したことで注目されたが、そのヒットの芽が潰れずに済んだのは間違いなくK’s cinemaと、同じく封切りを担った池袋シネマ・ロサのようなこだわりのミニシアターのおかげなのだ。

 『カメラを止めるな!』の大ヒットは、シネコン全盛の時代においても、ミニシアターには大きな役割があることを示した作品と言える。

      

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