川口春奈を離さない窪田正孝の絶妙な説得力! 『ヒモメン』で明らかになるヒモの生態

『ヒモメン』で明らかになるヒモの生態

 では、ゆり子と翔ちゃんにとっての「付き合っている意味」はなんだろうか。実は第1話〜3話までで一貫して、ゆり子はどうしても翔ちゃんを嫌いになれないポイントがある。それは“ゆり子のことを考えてくれている一生懸命さ”である。おそらくゆり子が恋愛において譲れないであろうこの価値観は、実はヒモにぴったりの条件であった。ヒモは大抵、時間がふんだんにある。働いていないぶん、プライベートなことしか考えなくて済むのだ。ゆり子のように不規則で過酷な仕事をしていると、翔ちゃんのように有り余る“時間”があって、ゆり子のためにその時間を使うことを惜しまない男の方が、好都合なのではないだろうか。ゆり子と翔ちゃんは、実はお互いの苦手分野をカバーしながら上手に付き合っているとも言える。

 しかし第3話では、その肝心の“ゆり子を考える一生懸命”に欠ける部分があったり、さらにはゆり子にとって大切な仕事での立場さえ脅かす展開となってしまった。普通の人が持つ、働くことに対する意識の高さや重要度を、翔ちゃんはヒモゆえに理解できなかった。その食い違いこそ、今回ゆり子たちが不仲になってしまった本当の原因なのではないだろうか。

 2人には、2人の付き合い方がある。第1話のときから、ゆり子と翔ちゃんはお互いの利害関係の一致を基にバランスのとれたカップルであった。しかしここで一度、ゆり子の気持ちが少し離れることで、今後の翔ちゃんがどう巻き返していくのか。就職を試みる翔ちゃんの姿にも注目したい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『ヒモメン』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~深夜0:05放送
出演:窪田正孝、川口春奈、勝地涼、佐藤仁美、YOU、金田明夫、岡田結実、片瀬那奈
ゼネラルプロデューサー:横地郁英
プロデューサー:秋山貴人・河野美里
原作:鴻池剛『ヒモメン~ヒモ更生プログラム~』(MFコミックス フラッパーシリーズ/KADOKAWA刊)
脚本:森ハヤシほか
音楽:井筒昭雄
演出:片山修ほか
制作:テレビ朝日 
制作協力:ホリプロ
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/himomen/

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