菅田将暉、祐太郎の“表と裏”を絶妙に体現 ほんの少しの後味の悪さが『dele』の魅力に

ほんの少しの後味の悪さが『dele』の魅力に

 『dele』では、まるで「菅田将暉=真柴祐太郎」と勘違いしてしまうほど、劇中で祐太郎のキャラクターはいきいきとしている。人懐っこい表情には、依頼者との関係を悟られてはいけないために、嘘が隠されているとも言える。それでも嫌な雰囲気を感じないのは、菅田がごく自然に祐太郎を体現しているためだろう。視聴者には明かされていない祐太郎の陰の部分もひっくるめて、彼のキャラクターを自分のものにしている。

 『dele』は物語の終わりに感じる、ほんの少しの後味の悪さが生々しくて魅力的だ。両親との関係が良くなかった宮内が「やっぱりデータは消さないでください」と依頼したデータ、その内容は友人達を家族だと話す宮内の生前葬のデータだった。データを消さないよう依頼した理由について、最後の最後に圭司がつぶやいた「復讐」という2文字。本当のところは、亡くなってしまった依頼人にしか分からない。生きているデータから読み解けるのは、依頼者が歩んできた人生だけなのだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
金曜ナイトドラマ『dele(ディーリー)』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~深夜0:15放送(※一部地域を除く)
出演:山田孝之、菅田将暉、麻生久美子
原案・パイロット脚本:本多孝好
脚本:本多孝好、金城一紀、瀧本智行、青島武、渡辺雄介、徳永富彦
音楽: 岩崎太整、DJ MITSU THE BEATS
ゼネラルプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:山田兼司(テレビ朝日)、太田雅晴(5年D組)
監督:常廣丈太(テレビ朝日)、瀧本智行
撮影:今村圭佑、榊原直記
制作協力:5年D組
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://dele.life/

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