村上虹郎主演、広瀬アリスやリリー・フランキー共演で中村文則原作『銃』映画化 監督は武正晴
芥川賞作家・中村文則のデビュー作『銃』が、村上虹郎主演で映画化されることが決まった。
中村が2002年に発表した『銃』は、雨が降りしきる河原で、思いがけず拳銃を拾った大学生の西川トオルが主人公。普段は友人たちと青春を謳歌しているが、その内には魅了された銃への高揚を秘めていたトオルは、大切に家に保管していた銃を持ち歩いてみることにする。同じ大学のヨシカワユウコにも興味があるトオルだったが、やがて銃は彼のなかで圧倒的な存在感を占めていく。突然の刑事の訪問などにより、次第に精神を追いつめられていくトオルは、あることを決意する。
村上虹郎が演じるのは、銃を手にし、その魅力に捉われ、且つ支配され、徐々に狂気が満ちていく主人公・西川トオル。村上の演技力に可能性を感じた企画・製作の奥山和由プロデューサーは、企画当初より彼を主演として抜擢したという。
ヒロインのヨシカワユウコを演じるのは広瀬アリス。快活さとは反面、心のなかに何らかの問題を抱えている女子大生を可憐に演じる。また、トオルを追いつめる刑事役には、リリー・フランキーが決まった。そのほか、日南響子、新垣里沙、岡山天音などが共演に名を連ねた。
メガホンを取るのは、『百円の恋』の武正晴監督。フィルムノワールの映像表現により、人間を追及していく純文学性をもった質の高い作品として本作を描いたという。
原作者の中村、奥山プロデューサー、武監督、村上、広瀬からはコメントが寄せられている。
コメント一覧
原作・中村文則
拝見した時、「物凄い映画を観た」と思いました。
僕のデビュー作『銃』は、発表後16年近く経ってもずっと版を重ねている、とても大切な作品です。
奥山プロデューサーや武監督が、これ以上ない形で、この原作を見事な映画にしてくださいました。
主人公のトオル役は天性のものがなければ難しい役ですが、村上さんは完璧で、他の役者の方達も、あまりにも見事で大変驚くことになりました。原作者としても、一映画ファンとしても、この映画の誕生を大変嬉しく思っています。
企画・製作:奥山和由プロデューサー
『いつかギラギラする日』『GONIN』から20年以上たち、やっと自分の分身と言える映画をプロデュースできました。村上虹郎はまさに100年に一人の天才。監督の武さんは100年に一人の努力家。そこにこの原作、傑作にならないわけがない。“自分”という精神の生存競争を表現できたという奇跡を感じたのは『ソナチネ』以来です。
武正晴監督
2017年夏、中村文則さんの原作が、僕たちスタッフ、キャストを熱狂の撮影現場へと導いてくれた。何よりも、村上虹郎の20歳の夏を撮れたのは、監督冥利に尽きます。原作者の中村さんと初めてお会いした時に『銃』を書いた青春時代についてお話ししてくれた。僕はこの映画を青春映画にしようと決意し、中村さんが『銃』を書いた西高島平を撮影場所と決め込んだ。
村上虹郎
このたび映画『銃』の主演を務めさせていただきます。
監督と1ミリのズレもなく同調し築きあげた"私"役という存在を武組のみなさんに切り撮っていただきました。
奥山和由さんプロデュースのもと、中村文則さんの第一子にして宝物のような"銃"を最高の形でみなさまに届ける事ができると思います。ご期待ください。
広瀬アリス
今回ヨシカワユウコという役を演じさせていただいて、作品の中では唯一救いの手を差し伸べるような、平和な空気を感じさせてくれる存在でした。
そうであるために、撮影の時は村上虹郎くんとはあまり会話をせず、2人の無言の空間をとても大事にしていました。学生の時感じる孤独感やモヤモヤ。答えのない感情を繊細に描いている『銃』という作品に参加できたこと、とても嬉しく思います。
■公開情報
『銃』
今秋、テアトル新宿ほか全国ロードショー
出演:村上虹郎、広瀬アリス、日南響子、新垣里沙、岡山天音、後藤淳平(ジャルジャル)、中村有志、日向丈、片山萌美、寺十吾、サヘル・ローズ、山中秀樹、リリー・フランキー
企画・製作:奥山和由
監督:武正晴
原作:中村文則『銃』(河出書房新社)
脚本:武正晴・宍戸英紀
制作プロダクション:エクセリング
企画制作:チームオクヤマ
配給:KATSU-do、太秦
製作:KATSU-do
2018年/日本/カラー&モノクロ/DCP/5.1ch/97分/R15+
(c)吉本興業
公式サイト:thegunmovie.official-movie.com