安田顕と吉高由里子の関係性が見どころに? 『正義のセ』原作小説からの変更点は吉と出るか

『正義のセ』原作からの変更点は吉と出る?

 相原事務官は、登場するなり、凛々子にかける言葉や行動で、なんとなくそのキャラクターをわからせることに成功している。朝は人一倍早くやってきて、腰は低すぎるくらいに低いが、人が使った机を丁寧に拭くような神経質な部分が感じられる。

 職務に対しては真面目で、事務官が検事に進言するべきではないと、出過ぎた真似はしないが、言い出すとお小言は止まらない。第1話でも、相原勉のお小言のシーンが個人的には一番おもしろかった。今後も、見どころの一つになるだろう。しかし、相原はお小言をいうだけではない。ときには凛々子の猪突猛進さに巻き込まれてしまうかわいさも持っている。第1話では、凛々子とともに事件の糸口を見つけた際に、ハイタッチしようとした凛々子に対して、事務官として躊躇したりもする姿に、相原の違う一面が垣間見えた。

 このドラマでは、原作にあった強姦事件に凛々子が取り組み、そこから冤罪につながり、その謎を追うハラハラしたサスペンス的な部分をどこまで描くのかはわからない。むしろ、凛々子と相原の微妙な距離感がどう変わっていくのかを楽しみにするタイプの作品なのかもしれない。

 しかし、前クールで正義とは何かを鋭く描いた『99.9』や『アンナチュラル』を観てきた視聴者にとって、本作がどこまで届くのかはまだ未知数でもある。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/

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