シリーズ作にハマる戸田恵梨香 『崖っぷちホテル!』支配人役で新境地なるか?
変幻自在な演技で人々を魅了する戸田恵梨香。4月15日より放送がスタートする『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)では、若くしてホテルの総支配人になった桜井佐那という女性を演じる。
戸田は小学生の頃から芸能活動を始めている“ベテラン”女優だ。2009年には、日本映画テレビプロデューサー協会が選定するエランドール賞を受賞し、その後もザテレビジョンドラマアカデミー賞で第59回・第73回助演女優賞、第67回主演女優賞を受賞している。日本映画界・ドラマ界に必要不可欠な女優と言えよう。
今から12年前の映画『DEATH NOTE デスノート』で戸田が演じた弥海砂は、純真そうな見た目と女性らしいしたたかさが印象的だった。キラを崇拝し、第2のキラとして自分の寿命と引き換えに恐ろしい力を手に入れた彼女は、キラのために忠誠を尽くす。キラである夜神月のために立ち回る姿は、可愛らしくもあり、どこかこの物語特有の不気味さも感じられるものだった。
原作でも話題になった拘束シーンでは、「演技ではなく本当に苦しかった」とインタビュー(『週刊アスキー』11/28号)に答えているものの、彼女が体を張って体現したからこそ、緊迫した空気が漂う圧巻のワンシーンとなった。2016年公開の『デスノート Light up the NEW world』で再び弥を演じたことも記憶に新しい。
こうした可愛らしさの中に狂気を感じさせる演技の印象が強かったが、代表作のひとつとなった『LIAR GAME』(フジテレビ系)では一転、バカ正直な女性・神崎直を演じ、騙し合いのゲームを見る視聴者の心を終始ハラハラさせた。人を信じるあまり恩師から1億円を騙し取られるところから物語はスタートするが、彼女は詐欺師とタッグを組みながらも、人を信じる信念を崩さなかった。映画版では彼女もとうとう“嘘をつく”。しかし彼女の嘘は、人を助けるためについた嘘だった。シリーズを追うごとに成長していく直を、戸田が事細かに演じていったからこそ、『LIAR GAME』は人気ドラマシリーズとなったのだろう。
熱狂的なファンを生み出したドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系)では主人公・当麻紗綾を演じた。IQ201でありながらガサツ、餃子が大好物で、左手を三角巾で吊るし、赤いキャリーバッグを持ち歩くという、見た目にもインパクトの強いキャラクターだ。それまでの戸田が演じてきたキャラクターには1本芯が通っている印象が強かったが、当麻はどこか抜けている。物語を追うごとに、特殊な力「SPEC」を持った存在が明らかになっていき、1話完結だった物語が徐々につながっていく。ただ、ドラマの雰囲気がシリアスさを増しても、当麻はどこか抜けたままだ。しかし視聴者は、彼女に秘められた力を垣間見ることになる。この当麻が醸し出すゆるさとシリアスな空気を器用に演じ分けることができたのは、戸田だけだろう。