亀梨和也×山崎育三郎×藤木直人、復讐劇がついに決着 『FINAL CUT』最終話“サクラ”の意味とは?

『FINAL CUT』最終話“サクラ”の意味

 百々瀬の趣味であるクロスワードパズルが、実は若年性アルツハイマーを患った妻への伏線だったことが明かされている。クロスワードパズルは、認知症の予防に効果的だという一説があるのだ。病院の庭で百々瀬の妻が慶介とともに解いていたクロスワードパズルの答えは「サクラ」。そして、百々瀬が控え室で解いていたクロスワードパズルの答えも「サクラ」。百々瀬は、妻の代役を立てていたのは、妻自身の希望だと言い、その理由を「どんな形であれ、世間に自分の面影を残したかった」と推測していた。愛する旦那のことはもちろん、自分自身のことも忘れてしまう病だからこそ、彼女は百々瀬に“私を忘れないで”ほしかったのだろう。そして、日々スクープを追い続ける百々瀬自身にも、本当の百々瀬塁を“忘れないで”ほしかったのではないだろうか。

 また「サクラ」はその種類によって、“精神の美”、“ごまかし”、“あなたにほほ笑む”という花言葉もある。これまで自分たちの責任を「認識の違い」などと“ごまかし”てきた百々瀬らメディア。だが、最後には「今のままで本当に胸張れんのかよ! 過去を正して、未来を見せろ。使命を果たせ。ミスターメディア」という慶介の言葉が胸に刺さり、“精神の美”が勝った。百々瀬はカメラの前で12年前の無認可保育園女児殺害事件の報道を謝罪したのだ。そんな彼の姿をテレビ越しに見ていた百々瀬の妻が、百々瀬に優しく“ほほ笑み”かけたのが印象的である。

 私たちは無意識のうちに、報道を鵜呑みにし、正義感という名の悪意で誰かを社会的に葬っているのだろう。そして、身勝手に断罪した誰か、ひいては事件そのものを忘れてしまう。『FINAL CUT』は、全9回の物語を通して、私たち視聴者にその問題を提起し、その裏で傷ついている“誰かを忘れないで”ほしいというメッセージを発していた。同時に、自身の目で“真実”を見極めることの大切さを投げかけていたように思う。『FINAL CUT』は、ただの復讐劇ではない。過去は変えられないが、今この瞬間に過去を正して、未来を見ることはできるということを私たちに教えてくれた。どうか『FINAL CUT』で描かれていたことを忘れないでほしい。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『FINAL CUT』
毎週火曜21:00~21:54(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
出演:亀梨和也、藤木直人、栗山千明、橋本環奈、林遣都、高木雄也(Hey! Say! JUMP)、やついいちろう、杉本哲太、裕木奈江、鶴見辰吾、升毅、水野美紀、佐々木蔵之介
脚本:金子ありさ
音楽:菅野祐悟
演出:三宅喜重(カンテレ)、日暮謙
プロデューサー:豊福陽子(カンテレ)
制作著作:カンテレ
#FINALCUT
#ファイナルカット(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/finalcut/index.html

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