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24年の月日を結ぶ架け橋とは? 『リバーズ・エッジ』が映し出す、ギリギリを生きる若者たちの姿

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 かつて岡崎京子は「この物語は『愛と資本主義』の物語である」として『pink』(1989)を描いた。その中で主人公であるユミは、ペットとして可愛がっていたワニをカバンに変えられてしまってもなお、一緒に外出できるからと言ってそれを持ち歩く。ユミに所有されるワニの亡骸(死体)も、山田に所有される正体不明の死体も、ここでは等しく生のための消費物であろう。山田は見つけた時にはまだ肉がついていた、と言うが、その僅かな肉はきっと、時間の経過によって朽ち果てていったのではなく、彼によって消費されてしまったという見方をした方が、おそらくは正しいのである。

 同じようにモデルとして世間に消費される存在として描かれる吉川こずえ(SUMIRE)と、ハルナの間の少し変わった友情関係も映画では瑞々しく描かれている。2人が豪邸で一緒に食事をとる場面では、岡崎がバイブルと公言するチェコ映画『ひなぎく』(1966)を、一瞬彷彿とさせもする。しかし、『ひなぎく』のマリエたちのように、2人はいたずらに犯罪という犯罪を犯すこともない。多くの若者たちがきっとそうであるように、退屈をもて余し、河のほとりに立つように、ギリギリを生きている。

 岡崎は映画そのものについて、こう語っている。「単純な事ですけど全ての映画は始まり、そして終ります。そしてすべての人間は生きて、そして死にます」(『KAWADE夢ムック文藝別冊 岡崎京子』河出書房新社)。しかし、「僕らの短い永遠」は確かにこのフィルムの上に存在し、それはきっと終わることなく続いていくものである。

 1994年当時、多くの少年少女たちの心をとらえたこの物語が、携帯電話とインターネットを手に入れ、異なるコミュニケーションの世界を生きる今現在の若者たちの心に、何を投げかけるのだろうか。小沢健二は、「あとがき」でもある本作の主題歌「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」の中で、こう唄っている。祈りを込めるように、希望を託すように。「きっと魔法のトンネルの先 君と僕の言葉を愛す人がいる 本当の心へと 届く」と。

■児玉美月
現在、大学院修士課程で主にジェンダー映画を研究中。
好きな監督はグザヴィエ・ドラン、ペドロ・アルモドバル、フランソワ・オゾンなど。Twitter

■公開情報
『リバーズ・エッジ』
TOHO シネマズ新宿ほかにて公開中
出演:二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵
監督:行定勲
脚本:瀬戸山美咲
原作:岡崎京子「リバーズ・エッジ」(宝島社)
主題歌:『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』 小沢健二(ユニバーサル ミュージック)/作詞・作曲:小沢健二
(c)2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
公式サイト:movie-riversedge.jp

      

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