志田未来の嫌な顔が憎い!? “いくつもの顔”を見せる『明日の君がもっと好き』で新境地へ

 幼少期から女優活動を開始した志田は、 『女王の教室』(2005/日本テレビ系)で民放ドラマ初のレギュラー出演を果たした。彼女にとって出世作でもある本作で、知名度は跳ね上がり、数多くいる子役たちの中でスター的な存在となる。続く『14歳の母』(2006/日本テレビ系)では主演を務め、センセーショナルな題材にシリアスな演技で適応し、幅の広さを見せつけた。やはりテレビでの活躍が圧倒的に多いが、2009年には『誰も守ってくれない』で映画に初主演、2010年には『借りぐらしのアリエッティ』で声優に初挑戦し、見事に声だけでタイトルロールを演じ上げた。演じるキャラクターは多岐にわたるが、子役スターということもあり、いずれも子供たちの代表といえるような、共感を呼びやすいものが多かった。

 『明日の君がもっと好き』での志田のキャラクターはまさに新境地を切り拓いているが、ここ最近では、『伊藤くん A to E』などでも新たな顔を見せてくれた。冒頭に記したように、たしかに演技の面では子役時代の面影を払拭したものと見て取れる。しかしいまだ残るあどけなさは、予想外のギャップを生み、現在の彼女の活躍にプラスに働いているように思える。なかなか共感を得がたいような複雑なキャラクターでも好演を見せるようになった今、変わらぬルックスと積み上げられた経験値は、同世代のほかの者たちの持っていない大きな武器になっているだろう。

 まだまだ中盤戦の『明日の君がもっと好き』。加速する運命の歯車の、最も重要な原動力に彼女がなっているのは間違いないが、今度どのように立ち回るのか目が離せない。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
土曜ナイトドラマ『明日の君がもっと好き』
テレビ朝日系列にて毎週土曜23:05〜
出演:市原隼人、伊藤歩、森川葵、白洲迅、志田未来、三田佳子、柳葉敏郎、渡辺大、綾田俊樹、大沢健、品川徹、小松和重
作:井沢満
音楽プロデュース:S.E.N.S. Company
演出:竹園元、片山修(テレビ朝日)
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/asukimi/cast/

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