ついに勃発、向井理vs桐谷健太! 『きみが心に棲みついた』吉岡里帆を解放するのはどっち?
「よしざきぃぃぃ」。向井理演じる星名の怪演が、回を重ねるごとに話題になっている『きみが心に棲みついた』(TBS系)。星名の言動に傷つきながらも追いかけずにはいられないキョドコ(吉岡里帆)と、キョドコに翻弄されながらも気にかける吉崎(桐谷健太)がいい雰囲気になれば、必ず背後に星名の姿が……。“くるぞ、くるぞ、やっぱりいたー!“始めのころは、星名に振り回されるキョドコにハラハラしたが、その行動も読めるようになってきた。それほど、星名とキョドコの行動はパターン化され、生活に染み付いているのだ。
親に愛されなかったという共通の苦しみを持つ星名とキョドコの共依存は、学生時代から継続されてきた。星名は、キョドコが抱く希望を奪い、望みを踏みにじり、絶望に苦しむ姿を見ることで、自分のために生きてくれている存在がいるのだと確信する。「仕事がうまくいったらデートしてください」という願いも、「キョドコのくせに……」と許すことがない。キョドコが意思を抱くことそのものが、自分のためだけに生きていないという認識になってしまうのだ。絶望の淵に追いやり、自分の意思など持てないくらいに壊すこと。そうすることでしか、星名の歪んだ自尊感情は高められない。“仕事を頑張るのは、あの人に振り向いてほしいから“そう自覚して「不順な動機です」と話すキョドコより、よっぽど星名の方が生きる中心にキョドコがいる。
一方、第4話では吉崎に大きな変化があった。予測不能なキョドコの行動に振り回されっぱなしだった吉崎だが、いつの間にか気になって仕方がなくなっている自分に気がつく。キョドコに対して敬語を使い、「メールは1日1通で」と距離を保っていたが、気づけば親しみのある口調になり、そっけないメールには「ひとことだけかよ」とツッコむようになっていたことを、ようやく自覚したのだ。漫画家・スズキ(ムロツヨシ)の言葉を借りるなら「完全にハマってるじゃないですかー!」状態。ちなみに、このムロツヨシが演じるスズキのキャラクターは、原作漫画ではここまでクセが強くない(笑)。キョドコのパンプスを履いたり、顔に押し当てたりするのが笑えるのは、ムロならではだろう。回を増すごとに演技が強烈だと話題になっているという意味では、星名とスズキはいい勝負。“ムロが心に棲みついた“と盛り上がりを見せているのは、いい意味で原作の枠を突き抜けたのではないか。
「一番の味方であろうと思ったんだ」。今回のハイライトは、吉崎が放ったこの言葉だろう。人が抱く、それぞれの苦しみを他者が全部理解することなんて無理なのだ。できるのは、一番の味方であろうとすることだけ。吉崎はそう語りながら、仕事で行き詰ったキョドコの話も静かに聞いていく。そこには星名のように「ありのままでいいんだよ」というわかりやすい言葉はない。だが、その姿勢こそ、ありのままのキョドコと向き合っているといえるのではないか。
吉崎の話に感化されたキョドコは、折り合いの悪いデザイナー八木(鈴木紗理奈)に自分の思いをぶつけるだけではなく、八木の思いを代弁できるパートナーになろうと決意する。その思いがきっかけとなり、滞っていた仕事が大きく動いていく。挙動不審なキョドコにイライラしていた取引先も、その熱意を買う形で交渉が成立。八木も自分のパートナーは「小川しかいない」と認めてくれた。相変わらず空気の読めないキョドコからの電話にも関わらず、嬉しい報告に「うぉー!」と一緒に喜ぶ吉崎は実に微笑ましい。