広瀬アリス、“作品を背負う”女優へ 『わろてんか』や『巫女っちゃけん。』でみせた実力

広瀬アリス、“作品を背負う”女優へ

 NHKの連続テレビ小説『わろてんか』で映画女優に女芸人と、多彩な顔をお茶の間に披露している広瀬アリス。幸先のいいこの2018年は、主演作『巫女っちゃけん。』も封切られたばかり。『偶然にも最悪な少年』(2003)や『ハードロマンチッカー』(2011)のグ・スーヨン監督による、実に7年ぶりの待望の新作である本作では、「就職までの腰掛けに、巫女をやる」という奇異なキャラクターを見事に体現。いま最も勢いのある彼女の魅力に注目してみたい。

 小学6年生の時に現在の事務所にスカウトされデビューした広瀬は、2009年に応募した『セブンティーン』(集英社)のオーディションにて見事グランプリを獲得し、専属モデルとして活動。ティーン層からの圧倒的支持を得ながら、ドラマに映画にと出演作を増やし、キャリアを積み上げてきた。その後『銀の匙 Silver Spoon』(2014)や『FLARE~フレア~』(2014)、フジテレビ系主演ドラマ『妄想彼女』(2015)でメインの役どころを担いはじめたころ、2015年に同誌を卒業し、モデル業も引退宣言。以降は女優業に専念し、『新宿スワンII』(2017)などの大作への出演や、2016年には『全員、片想い』と『L-エル-』で、2017年には山崎賢人とともに主演を務めた『氷菓』でと、主演作が相次いでいる。“モデルで女優”から、作品を背負うことができる女優へと、確実に歩を進めているのは間違いない。

 それを証明するのが現在の活躍である。“作品を背負う”というのは、なにも主役に限った話ではない。

『わろてんか』(写真提供=NHK)
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『わろてんか』(写真提供=NHK)
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  放送中の『わろてんか』で広瀬が演じるリリコは、伊能フィルム社長・伊能栞(高橋一生)のもとで映画スターとして活躍していたものの、藤吉(松坂桃李)の死をきっかけに、漫才コンビ「ミスリリコ・アンド・シロー」として川上四郎(松尾諭)と高座に上がることとなる。大黒柱を失った北村笑点を盛り上げるべく奮闘するヒロイン・てん(葵わかな)を支えつつ、彼女は自身の見せ場ではきっちり魅せる。四郎とコンビを組むか組まぬかで揉める場面では、まくし立てるようなセリフ回しで感情を爆発させ、周囲の者を圧倒したものの、デコボコながら笑いを生むコンビ出発。不器用な四郎との、なかなか上手くはいかぬ彼らの漫才であるが、リリコ自身それを肌で感じていながらも、いちばん近くにいる唯一の理解者として彼を支えはじめた。「笑い」をめぐる群像の中で、“出るところは、出て”、“引くところは、引く”、そうして彼女もまた『わろてんか』という作品を背負っているのだ。

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