松山ケンイチの「大丈夫」が染みる どんな人間も肯定してくれる『となかぞ』の優しさ
マイノリティーが明るみに
世の中にはもちろん様々な人がいるのだが、“様々”の一言で終わらせないのが本ドラマのいいところ。セリフが多少説明的なのでCMを見ているような気持ちになるシーンがあるものの、不妊治療は費用がかさむことや、検査開始日の妻の年齢が35歳以下でないと助成金が受けられないことなど、当事者にしか分からない苦労が明るみにされている。
劇中でも出てきたが、不妊治療中に生理が来てしまうことを「リセット」というらしく、妊娠の兆候が出て期待に胸を膨らませる中の「リセット」は、精神的に相当キツいのだそうだ。
また、ゲイであることを奈々に打ち明けた青木朔(北村匠海)は、恋人の広瀬渉(眞島秀和)のことを「クローゼット」だと紹介する。「クローゼット」とは、LGBTであることを世間に公表しない人を表す隠語。オープンな朔が、「クローゼット」な“わたるん”を思いやり、奈々に優しく口止めする姿からは、“愛する人の嫌がることはしない”という大きな愛が感じられた。
いくら多様性を重んじる時代とは言え、自分に身近な存在でなければ興味が湧かないのが人間の性。人々が隠し続けてきた本音を描く本ドラマは、“様々”な人々を生きやすくするきっかけとなるかもしれない。
(文=阿部桜子)
■放送情報
木曜劇場『隣の家族は青く見える』
フジテレビ系にて毎週木曜22:00から放送
出演:深田恭子、松山ケンイチ、平山浩行、高橋メアリージュン、北村匠海、眞島秀和、真飛聖、野間口徹、伊藤かずえ、高畑淳子、橋本マナミほか
脚本:中谷まゆみ
プロデュース:中野利幸
演出:品田俊介、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/tonari_no_kazoku/