篠田麻里子、『ビジランテ』悪女役を振り返る 「覚悟の詰まった作品」
本日12月9日より劇場公開となった、大森南朋×鈴木浩介×桐谷健太トリプル主演の映画『ビジランテ』。テアトル新宿で行われた初日舞台挨拶には、主演3名のほか、篠田麻里子と入江悠監督も駆け付けた。
地方都市の闇に生きる3兄弟の、ヒリヒリとする葛藤と衝突をオリジナル脚本で描いた本作。豪華トリプル主演に加え、女優・篠田麻里子がこれまでにない妖艶さで悪女を見事に演じ切った点も見どころとなっている。
暴力や性を描く作品でありながら、この日はちょうどお昼時の上映だったということで、「こんな時間から見る映画ではなかったと思いますが(笑)」(大森)、「幸せになる作品ではなく、モヤモヤが残る後味の悪い作品」(篠田)と、開口一番自虐を飛ばすキャストら。しかし、作品の完成度には一同自信たっぷりのようで、桐谷は「自分の代表作ができたと感じています。絶望的にかっこいい作品になりました!」と、胸を張る。桐谷は、この「絶望的にかっこいい作品」という言い回しがたいそう気に入ったようで、その後も嬉しそうにこの言葉を連呼していた。
3兄弟は入江監督自身がモデルとなっていて、監督の性格を3人のキャラクターに分散させているのだという。監督は、「僕の想像をみなさん超えてくれました」と、主演の3人を絶賛していたが、大森に「監督の中にこの3人の人格があったら、もうヤバい人ですよね。ドラッグと女に溺れ、長いものに巻かれ……」とツッコミを入れられる場面も。
また、篠田麻里子が演じる美希についても、「篠田さんがこれまでがんばってきたことが、この役なら120パーセント出せると思いました。AKB48はタフな人が多いので、打たれ強いと思って何回もダメ出しをしました。それがスクリーンにも出ていると思います」と、入江監督。
美希というキャラクターについて、「彼女のような悪女をどう思う?」という司会からの質問に、大森は、「怖いですよね。僕ももう年なので、そういう経験がなくもない」と、少々思わせぶりなコメント。残るふたりも、「楽っちゃ楽だなと。手のひらで操られてればいいっていう楽さはありますよね」(鈴木)、「女性って、女性にしかない強さがある。この3兄弟はやっぱりつらい過去があるからこそ弱さもあるんですけど、3兄弟の弱さと女の人の強さの相乗効果が見えた。ある種の教科書にも感じられるような、深い映画だと思います」(桐谷)と、印象を語った。
本作は撮影も長時間に渡り、桐谷いわく、「20年間スタッフをやっている方が『20年の中で一番過酷だった』って言うような映画」だったそうだ。そんな苦労があったからこそ、「絶望的にかっこいい作品」かつ「私を含め、覚悟のつまった作品」(篠田)になったのだろう。監督も、そうした難産を経て、「今日は本当にありがとうございます。映画はお客さんがスクリーンで見ていただいてからが完成だと思っている」と感無量の面持ちで締めくくった。
(取材・文:まにょ)
■公開情報
『ビジランテ』
テアトル新宿ほか全国公開中
出演:大森南朋、鈴木浩、桐谷健太、篠田麻里子、嶋田久作、間宮夕貴、吉村界人、菅田俊
脚本・監督:入江悠
音楽:海田庄吾
配給:東京テアトル
2017年/日本/カラー/125分/R15+
(c)2017「ビジランテ」製作委員会
公式サイト:http://vigilante-movie.com