窪田正孝『僕たちがやりました』、なぜ熱狂的ファンを獲得? 関西テレビ“攻めの姿勢”の狙い

『僕たちがやりました』成功の秘訣

 はっきり言って視聴率は振るわない『僕たちがやりました』(フジテレビ系、関西テレビ)。しかし、『ザテレビジョン』(KADOKAWA)の「視聴熱ランキング」(SNSなどの盛り上がりを数値化したもの)でトップに立つなど、見ている人の熱は高い。

 視聴率トップの『コード・ブルー』(フジテレビ系)は、過去のヒット作であり、山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未ら豪華キャストを配した「手堅い安全策」と言っていいだろう。

 一方、『僕たちがやりました』は、29歳の窪田正孝を高校生の主役に据え、バイオレンスとエロをふんだんに盛り込んだ「イチかバチかの危険策」。火曜21時というファミリー視聴が予想される時間帯だけに、ある程度の苦情を覚悟して挑んでいるのは間違いない。

  話題性ではなく、スリルやドキドキを狙う

 かつては夏の定番だった学園モノが低視聴率を理由に制作されなくなった中、高校生をメインに据えた物語は、それだけで希少価値が高い。また、連ドラ主演に相応しい知名度と演技力を併せ持つ10代~20代前半の俳優が少ないとはいえ、現在28歳の窪田正孝を起用したのも挑戦的だ。

 そして極めつきは、前述したバイオレンスとエロのシーン。1話から壮絶なイジメとケンカを真っ向から描き、2話以降では17歳の永野芽郁と元アイドルの川栄李奈のキスシーンなどを放送している。当然ながら批判的な声があがり、BPOにも苦情が寄せられ討論される(審議は見送り)などの事態に見舞われているが、今のところ屈する様子は見られない。

 同作が原作漫画を忠実に再現していることを踏まえると、バイオレンスもエロもますますエスカレートすることが予想されている。ただし、それらは決して単なる話題性狙いというわけではなく、視聴者がドキドキやスリルを感じ、登場人物に感情移入してもらうためのものに違いない。視聴者は回を追うごとに、バイオレンスとエロのシーンが「未熟な高校生の成長物語」の前振りとなっていることに気づき、終盤の感動につながるのではないか。

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