Amazon映画論ランキング1位! 『菊地成孔の欧米休憩タイム』発売記念:伝説のコラム公開

 あれ以来、新宿の伊勢丹周辺は新宿でありながらパリのままである。『セルブール』にも、深津絵里がヒップホップの連中に襲撃され、ほうほうの態でここまで逃げ切り、 安心して寝てしまう。というシーンがある。青山から明治通り沿いに、代々木方面に向かって追われると絶体絶命、途中には和菓子屋やラーメン屋や富士そばしかない。高島屋で一瞬助かると思いきや、中からアゲ嬢が大挙して出て来る。気を失いそうになりながら更に逃げ、伊勢丹の前まで辿り着き、伊勢丹を見上げながら「ああ、ここはパリだわ。パリよ。またあたしはパリに着いたのね」と言って気を失うのである。天使が出て来て「目が覚めても、周りを見回してはいけないよ。この石の建物、それと中国人の観光客だけ見ていなさい」と歌う。

 写真はそんな、新宿のパリ地区(正式名称ではない。言うまでもないが)周辺で撮影した物だ。伊勢丹を路上から撮った物と、伊勢丹から出てすぐにあるビストロ「クレッソニエール」の店内。そして、伊勢丹の向かいにある丸井本店の2階、スターバックス・ブラックエプロンのウインドウビューである。このスタバは、大きなウインドウいっぱいに向かいの伊勢丹がぴったり収まる様にデザインされていて、コーヒーがシアトル式である事を除けば、かなりのパリ度があり、いつ行っても満席である。

続きは書籍『菊地成孔の欧米休憩タイム』
にて

■商品情報
『菊地成孔の欧米休憩タイム』

著者:菊地成孔

価格:2,000円(税抜き)

発売日:8月10日

判型:四六版

発行:株式会社blueprint

発売:垣内出版株式会社【内容紹介】
映画メディア「RealSound 映画部」の人気連載「菊地成孔の欧米休憩タイム~アルファヴェットを使わない国々の映画批評~」を一挙総括! 公開後に Yahoo!ニュースなどで大きな議論を巻き起こした『ラ・ラ・ランド』評はもちろん、『シン・ゴジラ』『君の名は。』などヒット作の書き下ろし評論、ほか単行本未収録の原稿を多数収録。 “英語圏(欧米国)以外の映画を中心に評論する”というテーマのもと、菊地成孔が独自の角度から鋭く切り込んでいく、まったく新しい映画評論集。

【著者について】
1963年生まれ。サックス奏者。音楽界では、ミュージシャンを基軸として、映像作品の音楽監督、大学の講師など多岐にわたって活動。文筆家、コラムニスト、批評家など、言論界でも名を馳せる多作家。ファッションや食文化にも造詣が深い。自身が DJを務めるラジオ番組『菊地成孔の粋な夜電波』が放送中。

【目次】

<シン・君の名は>或は今年は1955年である/まえがきにかえて

第1章 欧米休憩タイム

『黒衣の刺客』/『ロマンス』/『木屋町 DARUMA』/『無頼漢 渇いた罪』/『ハッピーアワー』/『ビューティー・インサイド』 /『セーラー服と機関銃 -卒業-』 /『インサイダーズ/内部者たち』 /『山河ノスタルジア』 /『アイアムアヒーロー』/『ひと夏のファンタジア』/『ケンとカズ』/『暗殺』/『隻眼の虎』/『溺れるナイフ』/『ラ・ラ・ランド』 /『ラ・ラ・ランド』追補 /『お嬢さん』

第2章 TSUTAYAをやっつけろ
『死刑台のエレベーター』×2/『ディーヴァ』/『フライドドラコンフィッシュ』/『イヴのすべて』/『エージェントゾーハン』/『軽蔑』/『アメリカの夜』/ヒッチコック全作品(前後編)

第3章
『ひと夏のファンタジア』ハン・トンヒョン氏と対談 /ホン・サンス『次の朝は、他人』・同一性障害という美/ROCKS 都市の同一性障害 第1回「新宿とパリ」/ROCKS 都市の同一性障害 第2回「新宿とニューヨーク」/ROCKS 都市の同一性障害 第3回「新宿とソウル」/「K-HIPHOP」とワタシの出会いとその後の関係について

あとがき

■イベント情報
『「シネマの大義 廣瀬純映画論集」(フィルムアート社)刊行記念』
8月10日(木)
会場:東京都 青山ブックセンター本店 大教室
出演:廣瀬純、菊地成孔
料金:1,350円
イベント詳細はこちら→http://www.aoyamabc.jp/event/lacausecinematographique/

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