『ウチの夫は仕事ができない』は錦戸亮の新たな代表作になる? 第1話レビュー
7月8日にスタートしたドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ)の、小林司(錦戸亮)はそのタイトル通り仕事ができない。妻の小林沙也加(松岡茉優)にとって、司は将来有望な期待の社員、理想の夫のはずであったが、司の忘れた携帯を届けに会社を訪れた際に、夫が「ニモちゃん」と呼ばれるお荷物社員であることを知ってしまう。司は異動して初めての仕事を任せられるも、上司の望む結果を出せず、退職願いを鞄に忍ばせたサボリーマンとなってしまうのだった。
『ウチの夫』で最も映えるのは、演技の中の錦戸の表情だ。司は、仕事ができない。けれど、それには理由がある。仕事よりも大事と思うものがあるからこそ、仕事ができないと見られてしまうのだ。司が大事と思ったものは、クライアントの身内の不幸。それを知った上で、司は仕事の依頼が出来ず、失敗してしまっていた。人間的に温かく、人のことを思うことができる。それが司の魅力だ。沙也加と出会った時から、司は変わらず優しい人物だった。そんな司の人柄を表しているのが、錦戸の表情なのである。
仕事で失敗して帰ってきた司は沙也加の顔を見て、目を泳がせる。親切にした弁当屋に「正直になること」とアドバイスを受け、沙也加の弁当を食べながら涙を流す司。極め付けは、沙也加に全てを打ち明けた司が、その優しすぎて損する姿を彼女に認められた時の司の笑顔。ドラマのキャッチコピーには、沙也加から見た「可哀想で可愛い私の夫」とあるが、2人がなんでも話せる夫婦を目指すことを誓った等身大の姿は、見るものにも“ほんのちょっとの勇気”をくれた。