松岡茉優、独特のユーモアをどう発揮する? 『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』への期待

松岡茉優『その「おこだわり」〜』への期待

 4月8日の深夜からテレビ東京ほかの金曜深夜枠(深夜0時52分〜)で放送されるドラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』。昨年同じ枠で放送され、カルト的人気を博したドキュメンタリー『山田孝之の東京都北区赤羽』に続いて、松江哲明が監督を務める“フェイクドキュメンタリードラマ”である。本作の主演には、今や映画やドラマといった女優業からバラエティ番組など幅広く活躍する松岡茉優が抜擢された。

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 ここ数年で急激にブレイクを果たした彼女。やはり、多くのテレビ視聴者にとっては、まだ『あまちゃん』で演じたGMT47のリーダー・入間しおりのイメージが強いだろうか。映画ファンには、その1年前に公開されていた映画『桐島、部活やめるってよ』で演じた沙奈役の印象も強いであろうし、もう少し遡れば『鈴木先生』での堀の内七海役で彼女を知った人も少なくないだろう。

 2008年にテレビ東京系朝の『おはスタ』の“おはガール”を務めたのが彼女のキャリアのスタートである。その後も『愛のむきだし』をはじめ多くのドラマや映画に端役で出演するが、筆者が彼女を認識したのはやはり『桐島、部活やめるってよ』だろうか。東出昌大演じる元野球部の菊池宏樹(ほとんど主人公みたいな位置づけではあったが)の恋人役として、橋本愛や山本美月、清水くるみと共に行動する女子グループの一員であった。校内一の美人のそばにくっついていることで、校内ヒエラルキーの上位に滑り込んでいる、どこにでもいるような没個性的で「あざとい」女子を演じている姿は、とてもその時の舞台挨拶で飄々と「塩辛やめるってよ」と宣言した子と同じ人だとは思えないほどのギャップを感じさせた。

 学園ドラマは若手役者にとっては通過点のひとつであり、よっぽど特徴的なキャラクターを演じるわけでもない限り、比較的素に近い演技でも通用しやすい。それでも、この『桐島』での彼女は、徹底的に作り込まれたキャラクターを演じていることが一目で判り、1年近くに渡る吉田大八監督の徹底した演技指導だけでなく、まだ無名だった松岡茉優という女優のポテンシャルの高さに驚愕するきっかけとなった。

 その後の『あまちゃん』や、『GTO』、初主演ドラマとなった『She』で見せた真面目そうな演技もまた様になるし、映画『ストレイヤーズ・クロニクル』での超能力少女も悪くない。いずれも同年代の若手俳優たちと共演ではあったが、彼女の演技力は他の共演者全員を圧倒するほどに突出していた。それは、実績十分なベテラン俳優との共演でも遺憾なく発揮され、ドラマ『問題のあるレストラン』での対人恐怖症を持った引きこもりシェフを演じたときにも、同年代の二階堂ふみ、高畑充希といった実力派女優と共に、主演の真木よう子を凌駕するインパクトを残したのである。

 現在NHKで放送中の大河ドラマ『真田丸』では三谷幸喜演出のもとに集まった錚々たる演技陣と共演しており、まだまだ力を付けていくに違いない。また、今月末には映画『ちはやふる下の句』が公開され、そこでは史上最強と謳われるかるたクイーン・若宮詩暢を演じる。広瀬すずを筆頭とした人気急上昇株の若手役者を相手にした演技合戦が見られるのだから、想像以上の傑作となった前編『上の句』を超える作品を期待してしまう。

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