『キス我慢』『酒場放浪記』……TVバラエティはなぜ映画を目指す?

TVバラエティ、映画化の背景を探る


 それは、6月10日に公開となった『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』にも共通するところ。BS-TBSの人気番組『酒場放浪記』でおなじみの吉田類が案内人を務める本作は、居酒屋を舞台にした3本のオムニバスドラマ。番組タイトルをそのまま映画化したものではないにしろ、「吉田類」の酒場キャラはしっかりと活きている。番組の匂いを感じさせながら知らなくても楽しめる設計は、バラエティ映画の進化系とも言える。

 バラエティ発の映画に定型はない。作り手の熱意、ファンの観たいものを追求する姿勢が、タイトルごとの新たなアプローチや描き方を模索する。興行収入や人気原作の取り合いにがんじがらめになった今の映画界の中、自由の残る数少ないフロンティアがここにはあるのかもしれない。

(文=渡部あきこ)

■公開情報
『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』 
角川シネマ新宿ほか全国公開中
出演:吉田類 /伊藤淳史/松本妃代/菅原大吉 戸田昌宏/津田寛治
監督:長尾直樹
2017年/日本/85分
製作:KADOKAWA GYAO ギークピクチュアズ    
配給:KADOKAWA
©2017『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』製作委員会
公式サイト :http://horoyoi-sakaba.jp/

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