沢尻エリカ、手作り弁当で"親子愛”熱演ーー『母になる』第4話を振り返る

 『母になる』(日本テレビ系)第3話では、沢尻エリカ演じる“実の母”柏崎結衣と、小池栄子の演じる”育ての母”門倉麻子が、道枝駿佑演じる柏崎広を巡って交錯した。2人の母親の緊迫したやり取りから、それぞれの母としての思いが浮かび上がり、視聴者の共感を呼んだ。第4話では、結衣によそよそしい態度を取る広が、一歩ずつ歩みを寄せていく心温まる親子愛が描かれた。

 門倉から「2年前にあなたを捨てたお母さんなんて忘れなさい!」と突き放され、塞ぎ込む広。それから彼は、柏崎家の中で母親の結衣にだけ他人行儀な態度を取るようになるのだった。ある日、結衣は担任の教師からの忠告により、広から学校のお知らせのプリントを渡されていないことに気づく。意を決し、結衣は広の部屋に入り荷物を調べることに。彼女は、バッグから門倉との写真を見つけてしまう。タイミングよく、学校から帰ってくる広。ギクシャクした母と子の関係は修復するどころか、悪化する一方となる。

 空の弁当箱に、汚れていない箸。結衣は広が弁当の中身を食べずに、学校で捨てていることを悟る。家庭環境に耐えられなくなった広は、門倉との写真を叩き割り、近づく母に向かって「俺、施設に戻りたい」と告げる。9年越しに再会を果たした我が子に、離れたいと告げられることが、どれほど耐え難いことか。

 結衣は「お話しましょう。言いたいことあるんでしょう?」と広に歩み寄る。なぜ他人行儀なのか問いかける母に広は、「最初の頃はよく分かんなかったし。言われるがままにここに来て、俺のお母さんだなって。でも、お母さんってなに? 母親って何ですか? 考えてみたけど、あなたのことも全然思い出せないし。悪いんだけど、あなたのことをお母さんとは思えません」と残酷なまでに現実を突きつけ、思い出すのは門倉との思い出ばかりだと話す。結衣は、「どうしても戻りたいなら施設に戻っていいよ」と施設に行くことを許す代わりに、条件として祖母との約束である遊園地へ、家族みんなで行くことを約束する。広は、自身が赤ちゃんだった頃のエピソードを聞き、遊園地での母親とのひと時を過ごすことで、少しづつ気持ちを許していく。

 施設に向かう当日、「じゃあね、気をつけて!」と結衣が声をかけるも、黙ってうつむく広。家に戻り、おもむろに弁当に目を向けた結衣は、汚れた箸と「ゴチ! 広」という付箋のメッセージに気づく。広の心が開いた証拠だ。たまらず彼を追いかける結衣。「お弁当、毎日作るの楽しかった! あなたが食べてくれなくても、明日は何にしようって。あなたが小さな頃を思い出しながら、またもう一度お弁当を作る日が来るなんて。夢のようだなって。毎日楽しかった。短い間だったけど、一緒に暮らしてくれてありがとう。お弁当、最後に食べてくれてありがとう。待ってる」黙って俯き、歩き出す息子に結衣は「お母さん、あなたが帰ってくるの待ってるから!」と笑顔で送り出す。たとえ、目を背けられようとも、気持ちが届くことを信じ、彼を待ち続ける。広の背中をじっと見つめる結衣の視線は、まぎれもなく母親の姿だった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる