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まさに大人向け『ハリー・ポッター』!? 『マジシャンズ』が描く、アメリカ的な魔法世界

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魔法大学への攻撃。彼らを待つ運命とは?

 クエンティンは親友のジュリア(ステラ・マイーブ)とともに、不思議な力に引き寄せられ、物語の重要な舞台となる「ブレイクビルズ・ユニバーシティ」へと足を踏み入れることに。入学の認められたクエンティンは学内で様々なタイプの能力者たちと親交を深め、一方、入学の認められなかったジュリアは、魔法の魅力にとりつかれるあまり、どうにかしてその世界へ潜り込みたいと願望を強めていく。

 魔法を使いながらセックスを楽しむ若者たちがいるかと思えば、第1話のラストでは急転直下。大学の授業中に“ビースト”と呼ばれる謎の訪問者が現れ、背筋の凍るような残忍さで観る者を恐怖のどん底に突き落とす。そのいでたちは、スーツ姿で、顔の部分には蛾が無数に舞っていてその正体を確認することができないという、極めて不気味なもの。おそらく1話のクオリティ次第でこのシリーズを見る/見ないを判断しようとしている人にとって、このキャラクターの登場はかなりガツンとくる一撃となるはずだ。

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 もちろん、ハリーとロンとハーマイオニーではないが、本作でも様々な個性と能力を持った仲間たちが、時に協力し、時に口論し合いながら、魔法とパーティーに明け暮れた毎日を繰り広げていく。ここでは「自分には生きる価値がない」だなんて誰も思わない。多くが自分の魔法のせいで心に傷を負っていて、干からびた地平から何かを見つけ出そうと必死になって生きている。

 また、格差社会ではないが、ブレイクビルズ大学に入学できなかった“ジュリア”の入り込む裏世界も興味深い。どうやらこの世界には、大学以外にも魔法使いの組織はいくつも存在するようで、彼女はそこで様々な人物と知り合いつつ、徐々にきな臭い世界へと巻き込まれていってしまう。

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 登場人物たちは皆、何を企んでいるのか気が抜けない者ばかりだし、学部長を始めとする教師たちもなにか口にできない秘密を抱えているかのよう。シリーズに集いし彼らの目的は何なのか、そしてこの魔法の世界は、一体どこへ向かおうとしているのか。その全貌の見えなさに歯がゆさを募らせつつ、このもどかしさこそ第1シリーズにふさわしい醍醐味でもあることも確か。

 現在、Huluでは毎週水曜日に1話ずつ新たなエピソードが追加配信中。第1シーズンは全13話となり、間もなく折り返し地点を迎える格好だ。手品師、もとい魔法使いたちが技術的、精神的な成長を遂げるに従って、作り手たちも創造性をダイナミックに発動させて物語をさらなる迷宮へといざなっているように思える。

 彼ら/我々を待つのは明るい未来? それとも絶望? 先行き不透明な現代社会とよく似た今後の展開にも大いに期待したいところだ。

■牛津厚信
映画ライター。明治大学政治経済学部を卒業後、某映画放送専門局の勤務を経てフリーランスに転身。現在、「映画.com」、「EYESCREAM」、「パーフェクトムービーガイド」など、さまざまな媒体で映画レビュー執筆やインタビュー記事を手掛ける。また、劇場用パンフレットへの寄稿も行っている。Twitter

『マジシャンズ』予告映像
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■配信情報
『マジシャンズ』
Huluにて独占配信中(全13話)
原作:レヴ・グロスマン『The Magicians』(日本未刊行)
出演:ジェイソン・ラルフ、ステラ・マイーブ、オリビア・ダッドリー、ヘイル・アップルマン、サマー・ビシルほか
(c)2015 Syfy Media Productions LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://www.hulu.jp/the-magicians

      

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