アイドル的存在としてブレイク!? 映画から派生したグリーンボーイズ、ピュアな歌声の魅力

グリーンボーイズ、ピュアな歌声の魅力

 筆者がグリーンボーイズの魅力に気づいたのは、前述の1月7日のGReeeeNライブにて。個人的な感傷になるが、昨年末はSMAP解散などにまつわるあれこれで、自分がふだんレポートしている芸能界やアイドルビジネスに失望していたまさにそのタイミング。さいたまスーパーアリーナの花道に登場し、初舞台のプレッシャーと戦いながらガチで歌ったグリーンボーイズにはフレッシュな輝きがあった。菅田将暉はステージ上でぴょんぴょんと跳ねながら、観客を熱狂させていた。しかし、彼らは作詞作曲をしたわけではなく、映画の延長としてグリーンボーイズを演じているわけで、そこがアイドル的。まさにアイドルに代わる存在として約1万6000人のサイリウムを揺らしていた。そのパフォーマンスからは芸能界のしがらみも、アイドルの陰も見えてこなかった。

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 既にエンタメ業界では、俳優の桐谷健太が浦島太郎名義で歌う「海の声」が大ヒットし、映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』で長瀬智也、神木隆之介らが組んだバンド「地獄図(ヘルズ)」が『ミュージックステーション』に出るなど(ここにも桐谷健太が!)、“企画もの”の音楽活動が盛んになってきている。ここで、それに熱狂する受け手の気持ちを考えてみると、どうせアイドルに夢を見られない時代ならば、始めから作りものと銘打ったものに乗っかってしまおう。それはあくまでキャラなわけなので、文春砲などによるスキャンダルに心を揺らすこともないし、彼らが結婚したり解散したりしてもショックが少ない。そんなリスクヘッジの心理が働いているように見える。近年、漫画原作のミュージカルに出る俳優たちが「2.5次元アイドル」として人気を得ているが、それにも通じる流れなのかもしれない。

そんな中でも、グリーンボーイズは、菅田将暉という旬のスターとGReeeeNの楽曲という強みを持っている。このアイドル神話が崩壊しつつある2017年初頭、本業のアイドルすらもしのぐ存在感を放つはずだ。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■公開情報
『キセキ ーあの日のソビトー』
1月28日(土)全国公開
出演:松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、平祐奈、横浜流星、成田凌、杉野遥亮、早織、奥野瑛太、野間口徹、麻生祐未、小林薫
監督:兼重淳
脚本:斉藤ひろし
配給:東映
製作プロダクション:JOKER FILMS
(c)2017「キセキ ーあの日のソビトー」製作委員会
公式サイト:kiseki-movie.com

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